ペット衛生管理の豆知識<目次>

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230928 犬に与えてはいけない食べ物
230921 秋のダニにも注意 秋はダニの活動期
230914 秋のお散歩の注意点 犬に有害な植物
230907 秋のはじめの注意点 体調を整える
230831 ペットの肥満2 太る病気もあります
230824 ペットの肥満1 食事の管理が重要
230817 ペットの夏バテ2 させないポイント
230810 ペットの夏バテ1 夏バテのサイン
230803 犬と水遊び 安全に楽しく
230727 犬との旅行の注意点2 旅行の前に
230720 犬との旅行の注意点1 下調べと準備
230713 ペットの熱中症の緊急対応 まず冷やす
230706 ペットの暑さ対策 基本はエアコン
230629 鳥の梅雨対策 鳥は高湿度が苦手
230622 梅雨時のペットの臭い対策 臭い低減
230615 梅雨に多い病気 耳や皮膚に注意
230608 ペットの食中毒 食中毒の予防
230601 暑いときの犬のお散歩 夏の注意点
230525 ペットの熱中症 夏前にも注意が必要
230518 換毛期の皮膚トラブル 換毛期の注意点
230511 犬猫のフィラリア予防2 蚊を見たら予防
230504 犬猫のフィラリア予防1 循環器に寄生
230427 ペットのノミ対策 住環境もきれいに
230420 ペットのマダニ対策 人獣共通病も媒介
230413 ワクチンの副作用 アレルギーへの対応
230406 ワクチン接種時の注意点 体調をみて
230330 狂犬病は人にも感染 ワクチン接種を!
230323 春は病気の予防シーズン 春は予防
230316 春の寒暖差に注意! 寒暖差はストレス
230309 災害時の備え 普段から備えましょう
230302 春のアレルギー 犬猫の花粉症対策
230223 猫と犬の発情期 発情期の注意点
230216 猫用ワクチン2 接種に関わる注意点
230209 猫用ワクチン1 予防できる猫伝染病
230202 犬用ワクチン2 予防できる犬伝染病
230126 犬用ワクチン1 ウイルス疾病に重要
230119 抗生物質の重要性 細菌感染症に必須
230112 犬の問題行動としつけ 共生のために
230105 高齢ペットへの配慮 できるだけ快適に
221229 ペットの老化のサイン 早めに気づく
221222 犬猫の年齢 人間換算年齢を意識
221215 寒いときの犬のお散歩 温度差に注意
221208 冬に多い病気 冬は免疫力が低下
221201 ペットの冬の食事 体重で食事を調整
221124 ペットの寒さ対策 効率的に暖かく
221117 鳥インフルエンザの注意点 野鳥に注意
221110 鳥インフルエンザの脅威 怖い変異
221103 ペットロス ありがとう大好きだよ
221027 自宅でのターミナルケア2 対応例
221020 自宅でのターミナルケア1 大変です
221013 ペットのターミナルケア QOLの向上
221006 ペットのQOLとは? 穏やかに暮らす
211104 鳥に与えてはいけない食べ物
211028 猫に与えてはいけない食べ物
210902 新型コロナ感染時の備え 事前に準備

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ペット衛生管理の豆知識:犬に与えてはいけない食べ物

犬が食べてはいけない危険な食べ物

犬のお散歩のときに注意したい秋の有害な植物についてはすでに書きましたが、食欲の秋ですので、食べ物のことをもう少し。人間にはご馳走でも ペットにとっては害になるものもありますので、ペットにあげてはいけない食べ物を知っておきましょう。

まずは、犬が食べてはいけない食べ物です。犬が食べると中毒をおこしたり、消化が悪くて下痢を引き起こしたりします。

ネギ類:タマネギ中毒は有名ですが、長ネギ、アサツキ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど、ネギ類はどれも有毒です。これらには赤血球を壊す物質が含まれていて、犬に深刻な貧血を引き起こす可能性があります。症状としては 元気消失、筋力低下、尿が橙~暗赤色になったりします。

チョコレート:チョコレートにはカフェインとテオブロミンが高濃度で含まれており、どちらも犬に中毒を引き起こします。量やチョコの種類にもよりますが、症状としては、嘔吐、下痢、元気消失、ふるえ、痙攣、ひどいときにはショック状態になったり 死に至る場合もあります。もちろんカフェイン入りの飲料(コーヒーやお茶)なども犬が届くところに置かないようにしましょう。

ぶどうと干しぶどう(レーズン):食べても問題ないこともありますが、嘔吐、元気消失、下痢や腎不全を引き起こす場合もあります。

アルコール類:アルコールのエタノールや、ビールに含まれているホップは、犬にアルコール中毒を引き起こす可能性があります。アルコール中毒の症状は、嘔吐、情動不安、ふるえ、痙攣などで、ひどいときには死に至ることもあります。

香辛料:トウガラシ、コショウ、マスタードなどは、嗅覚の強い犬には刺激が強すぎます。胃腸を刺激して下痢をしたりもします。

塩分の多い食品:みそ汁・ラーメン、ハム・ベーコン、カレー、ポテトチップスなどは、犬にとって塩分が強すぎます。塩分を摂り過ぎると心臓に負担がかかるなど、様々な弊害がでてきます。

消化管を傷つける可能性があるもの:鶏の肉や魚の骨などの硬い骨は、噛み砕いたときに裂けてのどや消化管に刺さる可能性があり危険です。

その他:マカダミアナッツ、アボカドもあげてはいけません。冷たい牛乳や生の魚介など、消化の悪いものもあげるのをやめましょう。生卵や乳製品も、下痢や食物アレルギー等の消化器系の不調を招くことがあります。

食べた量にもよりますし、犬によっても症状が出る場合と出ない場合があります。また、症状は食べてからすぐ出るとは限りません。犬がこれらを食べてしまった場合は(食べたと思われるときも含む)様子をよく観察し、いつもとは違う様子が見られたときには、すぐに獣医師に相談しましょう。
基本的には、人間の食べ物を犬に与えないことが一番安全です。食べているのをジッと見つめられるのを無視するのは難しいかもしれませんが、ペットを危険にさらさないためには、栄養バランスも含めてきちんと考えられたドッグフードを与えるのが最良です。

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ペット衛生管理の豆知識:秋のダニにも注意!

秋の草むらにもダニがたくさん潜んでいます

ペットのダニ被害は春から夏の季節に多いと思っている方もいらっしゃると思います。でも実は、秋のダニにも注意が必要です。
ダニは気温が20℃以上あれば繁殖できますので、春になれば成ダニが活動を始め、夏にかけて産卵します。そうして秋は、成長した若ダニや幼ダニが増えている状態となっており、冬眠に備えようと活発に活動しています。つまり秋の草むらには、ダニがたくさん潜んでいて、犬や猫がくるのを待っています。

野外で動物を吸血するダニは、主に家の外にいるマダニで、家の中にいるダニとは異なるダニです。マダニは8本脚からなる節足動物で、肉眼でも確認できる大型のダニです。固い外皮に覆われており、吸血前の成ダニの大きさは種類により3~10mmくらい。日本ではフタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどが動物に寄生して吸血します。これに対し、家の中にいるヒョウヒダニやイエダニなどは約1mm以下と非常に小さく、マダニとは違う種類のダニです。

マダニは草むらなどに入ってきた犬や猫などの体について吸血します。吸血中のマダニはペットの血液を吸ってパンパンに大きくなります。是非そうなる前に、お散歩など、外から帰ってきたら、ペットの体にダニがついていないか十分チェックしてあげましょう。特に、まぶたや耳の先などの顔回り、お腹、しっぽ、足の指の間などの皮膚の柔らかい部分がダニに狙われやすい場所です。ついたばかりのダニはまだ小さく、ゴミやホコリのように見えます。ペットの体にいつもとは違う何かがついているようなら、よく見て確認しましょう。でももしマダニがついていたとしても、無理にむしり取ってはいけません。無理に取ると、マダニの口器がペットの皮膚に残ってしまい化膿したりしますので、取り残しのないように注意深くしっかり除去しましょう。もし自分で除去できない場合には、動物病院に行って除去してもらいましょう。

なお、人もマダニに咬まれる場合があります。咬まれると、皮膚が発赤して腫れることもありますが、かゆみを伴わないことも多く、吸血されていることに気づかない場合も多いようです。吸血して皮膚にまだついているマダニを見つけた場合は、ペット同様、無理にとるとダニの口器が皮膚に残る可能性があるため、皮膚科等の医療機関を受診することをおすすめします。近年ではダニが媒介する人の感染症も増えてきています。医療機関にはその地域の感染症情報が集まっていますので、いつどこで咬まれたのかなどの状況も医師に伝えましょう。

ちなみに、マダニが媒介する動物由来感染症のひとつに、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気があります。SFTSウイルスをもつマダニに人が咬まれかまれると、このウイルスに感染して高熱がでたり、死亡することもあります。2011年に中国で初めて特定され、日本では2013年に山口県で確認されました。西日本を中心に900人以上の感染者が出ており、国内の死者数はわかっているだけで100人に上るとのことです。実はこのSFTS、令和3年以降 静岡県内でも毎年確認されています。今年も7月時点で すでに3例の報告があります。 SFTSウイルスをもつマダニは、シカやイノシシなどの野生動物に寄生しており、これらの移動に伴って、感染地域を広げているとみられています。シカやイノシシなどの野生動物はSFTSウイルスに感染しても大丈夫だそうですが、人や犬・猫が感染すると高い致死率を示すとのことですので、軽く考えずに十分注意しましょう。

ペットが病気にかからないようにするために、日ごろからペットのダニ駆除の予防薬を使い、ペットの体のチェックを怠らずに行いましょう。もちろん人も山や草むらに入るときには、ダニに咬まれないように対策しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:秋のお散歩の注意点

犬に有害な秋の植物を知っておきましょう

秋は外で過ごすのにちょうどいい、気持ちのいい季節です。ワンちゃんとのお散歩や外で遊ぶ時間が自然に増えると思いますが、外には犬にとって有害な植物もあるので注意しましょう。

〇銀杏:イチョウの木の実である銀杏は、犬にとって有毒です。イチョウの木が多い場所は銀杏の落下も多く、犬が興味をもって食べてしまうこともあります。中毒症状が出てしまう摂取量は個体によって差がありますが、嘔吐やけいれん、呼吸困難などの症状がおき、ひどいときには意識不明になってしまうこともあります。大量に銀杏が落ちていそうな場所には行かないように注意しましょう。

〇毒キノコ:秋の味覚、野生のキノコ。緑の多い公園には意外なところにキノコが生えていたりします。毒キノコを食べれば人でも命にかかわりますが、犬が食べても同じです。キノコは見分けが難しいので、基本的に野生のキノコは食べさせないようにしましょう。

〇キク、カーネーション、ヒガンバナ、ベコニア、シクラメンなど:秋に咲く花には、犬にとって有害なものがたくさんあります。身近なキク、カーネーションなども、犬にとっては有害です。そのほかにもイチジクの葉や枝もダメです。食べれば中毒症状を起こしますし、触れるだけで皮膚炎を起こしてしまう子もいます。これらの植物には十分注意し、触ったり食べてしまわないように気を付けましょう。

犬に玉ねぎやチョコレートをあげてはいけないことは有名ですが、これまた秋の味覚、ブドウ(干しブドウも)も犬にあげてはいけません。犬にとって危険な食べ物を知っておくことは、愛犬を守ることにつながります。
犬に危険な秋の植物を知った上で、ワンちゃんと一緒にたくさんお出かけして、秋の景色を楽しみましょう。そして気温の変化に気を配り、しっかりと体調管理をしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:秋のはじめの注意点

秋はペットの体調を整える季節です

まだまだ暑い日が続きますが、秋は確実に近づいてきています。
秋は、夏から冬へ移行する途中の季節の変わり目。夏の暑さによる疲れや、1日の中の寒暖差などにより、ペットが体調不良を起こしやすい季節です。一方で 過ごしやすい季節でもありますので、是非この時期にペットの体調を整えてあげましょう。

〇食欲不振:秋のはじめは、夏バテを引きずってしまうこともあり、食欲不振になりがちです。内蔵に疲れが残っているペットは、消化不良を起こすこともあります。夏場に体重が落ちてしまった場合は、フードを高タンパクなものに変えたり、ササミやお肉などの好きなものを少しトッピングして、冬がくるまでに体重を戻してあげましょう。

〇食べ過ぎ:夏バテの影響がないペットの場合は、冬に備えるために代謝が上がり、食べる量が増えます。人間で言うところの食欲の秋です。肥満には十分注意しましょう。量の加減はもちろん、低脂肪・高タンパクなフードをあげてみるなど、食事内容も工夫してみましょう。

〇運動不足の解消:暑い夏は運動量が減るため、運動不足になりがちでした。秋は気温が下がって動きやすい季節です。少しずつ運動量を増やして運動不足を解消してあげましょう。筋肉量が増えれば、基礎代謝量も増えますので肥満予防にもなります。

〇毛の生え替わり:秋は毛の生え変わりの季節です。春は冬毛が抜け落ちて密度の少ない夏毛に、秋は夏毛が抜けてフワフワした保温性の高い冬毛に生え替わります。抜け毛やフケが多くなりますので、こまめにブラッシングをしてあげましょう。ブラッシングすると血行が良くなり新陳代謝も促すことができます。

〇気温変化による体調不良:朝と昼との寒暖差が激しい秋は、ペットも体調を崩しがちです。いきなり寒くなることもありますので、早めに寝床を暖かくしておくなど、あらかじめ準備しておいてあげると安心です。特に高齢ペットは気温差に弱いため、寒くないように気を配ってあげましょう。

〇秋に発症しやすい病気もありますので注意しましょう。
●椎間板ヘルニア、十字靭帯断裂: 秋の朝や夜には急激に気温が下がることがあります。犬の場合、お散歩のとき、寒くて体がこわばり、椎間板ヘルニアや十字靭帯断裂を発症してしまうこともあります。寒いときには出かける前に軽く体を動かし、体を温めてから出かけるようにしましょう。
●膀胱炎: 膀胱炎は秋になると増えます。もう暑くないために、水を飲む量が減ることが要因のひとつ。寒くてあまり動きたがらず、オシッコを我慢してしまうことも原因となります。普段からオシッコの色や回数をチェックしておきましょう。
●呼吸器や消化器の病気: 秋は1日の中の寒暖差が大きく、気温も低くなることから、呼吸器系の病気や下痢などの消化器系の病気を発症しやすい季節です。咳や下痢には注意しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの肥満2

太ってしまう病気もあります

ペットが太る原因は食べすぎの他にもあります。以下、太る原因をまとめてみました。

〇飼い主の餌のあげ方:「かわいいいから」「おいしそうに食べるから」と、おやつや人間の食べ物を与えていると太ります。栄養バランスのいい総合フードも、与えすぎると太ってしまいます。フードの盗み食いや仲間のフードの横取りなども、飼い主の配慮で防げます。

〇高カロリーな食事内容:脂質や糖質が多い食事内容だと高カロリーになり、適度に運動させていても太っていきます。脂肪の多い肉や、糖質の多いパンやサツマイモのあげすぎには注意が必要です。

〇犬の運動不足:犬の場合、全く散歩に行かなかったり、散歩時間が短すぎたりすると、運動不足で太ります。体格にあった十分な運動が必要で、食べた分のカロリーを消費できなければ太るのは自然です。

〇去勢・避妊手術:去勢や避妊手術をすると、生殖活動がなくなって基礎代謝が下がったり、ホルモンバランスが崩れたりしますので、手術後は食事量を変えないと太りやすくなります。同情しておやつを与え過ぎてしまう飼い主さんもいますが、代謝量に見合った量のフードを与え、適度に運動させることが必要です。

〇病気:餌の量もきちんと管理されており、適度な運動をしているのに太ってしまう場合は、病気かもしれません。元気がない / 食事量は変わらないのに急に太ってきた / 食欲がないのに体重が増えた、太ったように見える / 毛が抜けて薄くなってきた、毛の艶がよくない / 水をたくさん飲み尿の量も多い(多飲多尿)/などの症状が複数みられる場合には、クッシング症候群や甲状腺機能低下症、糖尿病などの病気が疑われます。少しでも気になったり、おかしいと感じたら、すぐ獣医さんに診てもらいましょう。
●クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症):副腎から出るホルモン物質が過剰に分泌される病気で、水をたくさん飲んだり排尿の回数や量が増えたり、毛が抜ける、食欲が旺盛になる、顔がむくんでお腹が大きくなったりします。
●甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌が減って、急に太って動きが鈍くなったり、毛が抜けて皮膚が見えるようになります。高齢ペットに多く、食欲も落ちずに体重が増加したりします。
●糖尿病:食欲が増進し、たくさん水を飲むようになります。

食べすぎによる肥満であれば、食べ物の量を減らさなければなりません。その場合、いきなりたくさん減らすのではなく、減らすのは1割程度にして、その分を低カロリーのフードや野菜などに置き換えたりすると無理がありません。食事の回数を増やして、全体量は減らすというのもいいかもしれません。もちろんのことですが、適度な運動も大切です。普段からペットの体重を測って適正体重やBCSを把握しておくと、いい目安になります。

一旦太ったペットを減量させることはとても難しいものです。そうなる前に、飼い主が強い意志をもって、ペットに適正体重を維持させましょう。かわいいペットに長生きて欲しいなら、それはどうしても必要なことです。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの肥満1

食事を管理してペットを太らせないようにしましょう!

犬や猫に標準量のペットフードを与えると、とても短時間で食べてしまう子が多いですよね。
特に犬は10秒ほどの短時間で丸呑みしているかのうように食べてしまいます。飼い主によっては、10秒終わってしまうのではかわいそうに思い、追加でフードをあげてしまっている方もいるのではないでしょうか。犬は与えれば与えただけフードを食べてしまいますので、フードの追加はやめましょう。動物が太る原因は、私たちが太るのと同じ、食べすぎです。

動物が早食いなのは、野生だったころからの習性。自然界で生きる野生動物は、お腹が減っているのが普通の状態で、獲物が捕れたとき食べられるだけ食べる習性があります。またいつ外敵から襲われるかわかりませんから、やはり短時間でお腹に詰め込もうとします。ですから早食いはあたり前。丸呑みでも強い消化液でちゃんと消化できますので、消化が悪くなることを心配する必要はありません。

肥満は一番身近な生活習慣病です。人間の肥満は自分でコントロールできますが、ペットは人がコントロールしてあげなければなりません。ペットがかわいいなら、太りすぎる前に食事やおやつの量をうまくコントロールしてあげましょう。
ペットが喜ぶからといってフードの追加はやめましょう。そして食べ残しのフードは早めに片付けましょう。フードを追加したりいつまでも置いておくと、肥満はもちろん、好き嫌いも増やしてしまいます。
カロリーオーバーにならないように、年齢によってフードを変えることも必要です。フードに記載してある給餌量はあくまでも目安ですので、運動量が少なめの環境下で飼っている場合には量が多すぎる場合があります。 成長期であれば体重をこまめに測定して、月齢に見合った成長をしているか確認しましょう。
おやつを与える場合も与え過ぎに注意します。 欲しがるからといって人の食べ物を分け与えることも止めましょう。 味の濃い人の食べ物に慣れてしまうと、ペットフードを食べなくなります。犬の場合は、骨やガムなどを与えて気を紛らわしましょう。

太って体重が増えても、体を支える骨は太くなりませんし、運動が億劫になると筋肉も衰えて、背骨や足の関節に大きな負荷がかかり、痛みを伴う変形性関節症になりやすくなります。
また、太った体に血液を送り出す心臓も肥大し、首回りに脂肪がつけば呼吸を妨げますので、少し動いただけでも息が苦しくなります。こうなると散歩や運動は辛いだけで、残る楽しみは食べることだけになってしまいます。 まさに太ることによる悪循環。そうなる前にコントロールしましょう。

<参考>犬猫の標準体型の指標 BCS
犬・猫の標準体型を判断するために、BCS(ボディ・コンディション・スコア, Body Condition Score)という指標があります。スコアは5段階評価で、BCS3を理想的な標準体型とし、スコアが少なくなるほど痩せ気味、スコアが高くなるほど太り気味であることを表します。
一度太ると、ペットのダイエットは大変です。BCS 4の肥満気味のうちに、食事やおやつの量を見直しましょう。

出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」  ⇒ 環境省リーフレット 14ページ

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの夏バテ2

ペットを夏バテさせないポイント

蒸し暑い日が続きますね。そろそろ夏の疲れがどっと出てくる頃です。夏バテでペットに辛い思いをさせないように、夏バテ対策は油断せずにしっかり行いましょう。

〇水分をしっかりとらせる :口呼吸になると口から水分の蒸散が増えることから、いつもより多くの水分をとることが必要です。飲み水はこまめに換え、ペットがいつでも新鮮な水を飲めるようにしましょう。また、いつも食べているドライフードに水を加える、夏バテ気味ならウェットフードにするなどして、水分量の多いごはんにしてあげましょう。

〇食欲増進の工夫をする :暑さで食が進まないときには、いつものフードにペットの好きなものを少しトッピングしたり、ウェットフードを少し混ぜてあげるなど、ごはんに工夫をしましょう(カロリーオーバーにならないようにトッピングのしすぎには要注意)。ドライフードに水を加えてふやかすだけでもフードからいいにおいがしてきますので、食欲増進に役立ちます。

〇暑さ対策グッズを利用する :ペットの暑さ対策用のグッズとして、冷感マット、アルミプレート、クール素材のベッドなど、いろいろなものが販売されていますので、上手に利用しましょう。犬であれば、水で濡らして犬の首に巻くバンダナなど、お散歩のときにいいかもしれません。

〇温度と湿度を適切に管理する :ペットがいる部屋の温度と湿度に気を配りましょう。ペットによって適温は違いますので、ペットが不快を感じない環境にしてあげましょう。特に長い時間のお留守番のときは注意しましょう。また、夏場は雷が多い季節です。停電などでエアコンが停まってしまうと、ペットが熱中症になる危険が高まりますので、万が一のことも考えて、遮光カーテンをつけるなどの対応もしておきましょう。

〇犬の散歩は時間を選ぶ :犬の散歩は、朝や夜の涼しい時間帯に行くようにしましょう。そして、水筒を持ち歩き、散歩中にも新鮮な水を飲ませるようにしましょう。夏バテ気味のときは、無理に出かけず、涼しい室内で様子を見ましょう。

〇暑そうなときは体を冷やす :暑さで具合が悪そうなときは、風通しがいい涼しい場所に移動させ、タオルに包んだ保冷剤を首まわりや、わきの下、後足の付け根に当てて、体を冷やしてあげましょう。いかにも調子の悪そうなときは、決して無理をさせず、動物病院に相談しましょう。

お盆も過ぎ、暦の上ではもう立秋。あと少しがんばれば 過ごしやすい季節がやってきます。日々工夫して、夏を乗り切りましょう!

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの夏バテ1

ペットの夏バテサインを見逃さないで!

連日蒸し暑いですね。今はまさに暑さのピーク。暑さが厳しいこの時期はペットも夏バテします。被毛に覆われたペットは体に熱がこもりやすく、きちんと管理してあげないと夏バテによる体調不良を起こします。体に熱がこもると、自律神経の調整機能が低下し、食欲不振、下痢や嘔吐などの夏バテの症状を引き起こしてしまいます。いつもと少し違う感じがあるときは、それが夏バテのサインかもしれません。

ペットが夏バテすると、食欲がなくなる、元気がなくなる(あまり動かなくなる、ぐったりしている、眠ってばかりいる)、下痢、嘔吐 などの症状を示します。

症状がひどくなると、夏バテを通り越して熱中症になっている可能性があります。息苦しそう、体温が高い、体がふらつく、痙攣する などのときは、命にかかわることもありますので、すぐ動物病院に連れて行きましょう。

犬の場合、体に汗腺がないため、ハァハァと舌を出す呼吸(パンティング)で体温を下げようとします。しかし、湿度が高いと効率よく熱を逃がしきることができませんので、犬種によっては特に注意が必要です。

夏毛と冬毛が交互に生え変わるダブルコートの犬は、寒さに強く、暑さに弱い犬種です。特に寒い国原産のシベリアンハスキーなどは夏バテになりやすい傾向にあります。
短頭種(鼻の短い)の犬種も、鼻が短いため鼻呼吸がうまくできず、舌を出す口呼吸が多くなる犬種です。この舌を出す呼吸は、呼吸器や心臓に大きな負担がかかり、体温が上がってしまうことがあります。ブルドッグ、パグ、シーズーなどの短頭種や、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの比較的鼻が短い犬種は、特に注意してあげましょう。
また、子犬やシニア犬も、夏バテしやすいので気を付けましょう。
肥満気味の犬も暑さに弱いですので、できれば夏前に少しずつダイエットしておくといいですね。

夏バテの辛さは人もペットも同じ。ペットと一緒に夏を乗り切りましょう。(夏バテ対策は次回へ続きます。)

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ペット衛生管理の豆知識:犬と水遊び

安全に楽しく 犬と水遊びをしましょう!

ワンちゃんの夏の水浴びは、犬の体をクールダウンさせたり、気分転換させたりするのに有効です。でも水浴びが苦手なワンちゃんもいますので、水浴びは楽しいと知ってもらうために、まず水に慣れさせましょう。お風呂場や庭で足から少しずつ水をかけてみたり、大丈夫のようなら体にもかけてみるなど、声をかけながら楽しい雰囲気で、犬の様子をよく観察しながら水に慣れさせましょう。

水浴び前は少食にしておきましょう。水浴びすると体が冷え、お腹の具合が悪くなる可能性もあるからです。途中、疲れさせすぎないように、適度な休憩もとりましょう。

川や海などでの水遊びは、安全のためにライフジャケットを着用させてもいいかもしれません。飼い主から離れないように、リードは必ずつけましょう。犬が入っても大丈夫な場所かどうか、事前に確認した方がいい場所もあります。人が多いところは特に注意しましょう。川や海では、尖った岩がないか、岩場の凹凸は大丈夫か、足元の安全を確認しましょう。川や海に入れば水を飲んでしまうこともありますので、水質にも注意が必要です。

川遊びをするときには川の水温にも注意しましょう。体温の低下を防ぐために、水の中に長い時間浸かりすぎることのないように気をつけましょう。ワンちゃんが震えていたら、体温低下のサインです。すぐに水浴びをやめて、タオルで拭いてあげましょう。

逆に、炎天下の海の砂浜では表面が高温になりますので、素足の犬が火傷しないように注意してあげましょう。熱中症にならないように、日陰やテント・タープなどの日光があたらない涼しい場所を確保しましょう。海で海水を飲んでしまい、体調が悪くなることもあります。すぐ飲ませられるように、必ずきれいな水は持って行きましょう。

川や海での水浴び後には真水で洗ってあげましょう。そのままだと、細菌や砂、塩分などが体に付着したまま乾燥してしまいます。洗い流し用の水を持っていきましょう。被毛は濡れたままにせず、タオルで拭き取るなど、早めに乾かしてあげましょう。特に、犬を濡れたまま、エアコンの効いた車や部屋の中に入れると、さらに体温が低下してしまいます。車や部屋に入れる前には、必ずタオルで体の水分をとりましょう。

水浴びのあとには、体調を崩したり皮膚のトラブルが起きないように、ワンちゃんの体のお手入れも忘れずに。お家ではシャンプーで洗ってあげましょう。肉球には砂が入り込んでいるかもしれないので、特に足の裏はていねいに。耳の中にも水が入ったかもしれないので、耳のお掃除もしてあげましょう。洗った後は、ドライヤーでしっかり乾かし、ブラッシングで抜け毛を取り除きましょう。

ワンちゃんの様子をよく観察しながら、安全に楽しく水遊びをして、素敵な夏の思い出をつくりましょう。

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