ペット衛生管理の豆知識:ペットロス

~出会えてよかった 一緒にいてくれてありがとう~

そのときが近づいたと感じたら、飼い主さんは、心の準備をしておきましょう。
そして、ペットとの残された大切な時間を、悔いが残らないよう、できる限りのお世話をしてあげましょう。今まで一緒にいてくれたペットに、「ありがとう」「大好きだよ」と、優しく声をかけてあげましょう。

ペットロスとは、ペットを亡くした悲しみや喪失感のことです。「いつもいるところにいない」「もうお世話することができない」など、飼い主にとっては非常に辛く寂しいことです。
「あのときもっと遊んであげればよかった」「もっと早く動物病院へ連れていくべきだった」という後悔の気持ちが、ペットロスを長引かせることがあります。ペットロスも重症化すれば、無気力、倦怠感、食欲不振、不眠などの症状がでてきます。
ペットが元気なときから最大限の愛情を注いで精一杯のお世話をしてあげることが一番ですが、最後が近いと感じたときからでも遅くありません。精一杯の愛情をそそいでお世話してあげましょう。「やれることは全てやった」と思えることが、後悔の念を少し軽くしてくれます。そして、ペットロスを感じたら、誰かに気持ちを聞いてもらうことも大切です。

これはひとつの考え方ですが、ペットが先に旅立つことは、飼い主さんにとって不幸なことではありません。考えてみてください。万が一、飼い主さんが先に逝ってしまえば、残されたペットは幸せに生きていけるでしょうか。かわいいペットが逝くのを自分で見守れることは、飼い主冥利につきます。自分のもとでしっかりと寿命を全うし、最期を見守らせてくれたペットに感謝し、「ありがとう」「よくがんばったね」と言ってあげましょう。
そして、こんな喪失感や悲しさを感じさせてくれるほど大きい存在だったペットに出会えたことに感謝し、ずっと一緒にいてくれた幸せを想い出しましょう。ペットもずっとあなたを想っています。

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ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア2

最後まで快適に過ごせるようにしてあげましょう

食べたがるものをあげましょう
老化や病気の悪化によって食欲がなくなってしまったり、歯周病や口内炎などの痛みでドライフードを食べたがらなくなってしまったときには、ペットが食べたがるものを与えてみましょう。食事を楽しめるように、少し電子レンジで温めて香りを立たせたり、ぬるま湯でふやかしてあげると食べてくれることがあります。ウェットフードの方が好きなら、そちらをあげてみましょう。水分もとれますのでおすすめです。
必要に応じて、飼い主さんが手やスプーンなどで食べさせたり、体勢が安定しない場合は、体を支えてあげたりすると、たくさん食べてくれることがあります。
また、歳をとると前傾姿勢が負担になりますので、食器の位置を少し高めにしてあげると食べやすくなります。
※ 強制給餌は、回復の見込みがある場合に行うことが多い処置法です。ターミナルケアにおける強制給餌には賛否両論ありますが、ペットが自力で食べられない場合に、栄養失調や脱水症状にならないよう、餌を団子状にして口の中に入れたり、スポイトで餌を口の中に流し込んだり、飼い主さんが強制的に餌を食べさせるというものです。無理に入れても消化吸収できないこともありますし、誤嚥することもありますので、獣医師に相談してみましょう。

トイレへの移動を工夫しましょう
動物は、足腰が弱っても自力でトイレに行きたがる傾向があります。寝床からトイレまでの障害物をなくし、通路に滑り止めを敷いたり、トイレの入口にスロープを付けて段差をなくしたりしましょう。間に合わないこともありますので、可能性のある場所全面にペットシーツも敷いておくのもありです。自分でトイレまで行くことが難しい場合には、定期的にトイレまで連れて行ってあげましょう。

身体を拭いてあげましょう
自分で自分の体を舐めてきれいにするセルフグルーミングする猫も、高齢になったり病気で身体が辛くなったりすると、セルフグルーミングをしなくなってしまうことがあります。
ペットができるだけ清潔に快適に過ごせるように、優しくブラッシングをしたり身体を拭いてあげましょう。ペットの身体を拭いてあげながら優しく話しかけたり、身体をマッサージしながらなでてあげるなどのスキンシップも、大切なターミナルケアの一つです。飼い主さんの優しい声や触ってくれる感触で、ペットも安心します。

寝たきりになってしまったら
寝たきりになってしまったら、寝床にはクッション性のある素材のものを使い、厚みのあるクッションもうまく利用して、床ずれにならないよう数時間おきに体位を変換してあげましょう。オムツも上手に利用しましょう。人間用の尿取りパッドも役に立ちます。体をなでたりマッサージなどのスキンシップを行うと、痛みの軽減に効果があることがあります。

酸素吸入も効果が期待できます
老化で呼吸機能が衰え身体が酸欠状態になると、全身にさまざまな症状が現れます。酸素吸入をすれば、体内の酸素濃度が高まり、酸欠を緩和して体を楽にする効果が期待できます。酸素吸入は、酸素室にペットを入れて吸引させる方法が一般的です。機材は専門業者からレンタルでき、自宅にも設置できますので、ペットにはストレスや負担の少ない方法です。

獣医療によるペットの緩和ケア
ターミナルケアで行われる医療行為は、病気の原因そのものを治療して完治させたり、延命を行うことを目的とするのではなく、今ペットを苦しめている症状をできる限り緩和させ、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることを目的とします。
最も重視されるのは痛みや辛さ、精神的な不安を取り除くことであり、状態に合わせて、ペットに負担をかけずに症状を緩和させるための治療法を選択していきます。治療には様々な方法があり、介護するご家族の負担も考慮しながら、それぞれのペットに応じた治療を行います。
ご自宅では鎮痛剤を中心とした薬剤投与や皮下点滴による補液が行われることが多いですが、それぞれの治療については獣医師とよく相談しながら、獣医師の指示により行いましょう。
◆薬剤投与
必要な薬剤は獣医師により処方されます。獣医師の指示に従って投与しましょう。
特に痛みは、ペットのQOL(生活の質)を著しく低下させるものですので、痛みに対する適切な治療を行うことはターミナルケアでとても重要なことです。
◆皮下点滴(皮下補液)
皮下点滴は、脱水症や貧血、慢性腎不全などの状態を改善するために行います。皮下点滴は背中の肩甲骨近くの皮下に点滴液を入れます。点滴液を吊るして投与する場合と、皮下注射で補液する場合があります。獣医師が行う静脈点滴より吸収速度は劣りますが、短時間で終わり、ペットの身体への負担が少なく、比較的安全で、自宅で飼い主さんが自分で行うことができます。ご自宅で行う場合は獣医師の指示に従いましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア1

大きな負担を一人で抱え込まないで

持続的な静脈点滴が必要だったり、容体が不安定な場合は、病院に入院して対応することもありますが、ペットのターミナルケアは、住み慣れたご自宅で、飼い主さんご自身がケアを行うことが一般的です。入院や通院でたくさんの治療を施すこと自体、ペットには大きなストレスになることもありますし、なにより日々のお世話が重要です。
しかし、ご自宅でターミナルケアを行うということは、飼い主さんにとっては大変重い選択になります。

ペットのターミナルケアは、痛みや苦しみを軽減する治療をし、住み慣れたお家のいつもの場所で、ご家族と一緒に、最後の時がくるまで、今までと同じように穏やかに過ごすことを目指します。
つまりターミナルケアは、飼い主さんがご自身でペットの介護や看護をすることになりますので、飼い主さんの負担がとても大きくなります。トイレに間に合わなくなったり、介助や介護が必要になったり、認知症によって徘徊したり鳴き続けたり、病状が悪化すれば長時間付き添って見守らなくてはいけないこともあります。
皮下点滴や投薬など、痛みや苦しみを緩和する医療行為についても、獣医師の指示のもと、ご自宅でご自身で行わなければなりません。
つきっきりでお世話することの身体的な負担だけではなく、弱っていくペットの姿を見守ることの精神的な負担もとても大きいものです。思い詰めてしまわれる方もいます。

ターミナルケアの最大の目的は、飼い主さんとペットが、最後まで幸せなときを一緒に過ごすことです。飼い主さんに辛い思いをさせることをペットは望んでいません。重要なことは、飼い主さんが一人で頑張らないことです。
一人で抱え込んで頑張るのではなく、しっかりと休んだり息抜きをし、不安なことは相談したりして心の負担も軽減させましょう。そのためには、ご家族、信頼できる友人、かかりつけの獣医師、往診可能な獣医師、介護の経験と知識があるペットシッターなど、力を借りられる人を見つけておきましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのターミナルケア(緩和ケア)

痛みや辛さをできるだけ取り除いてあげましょう

「緩和ケア」とは、がんなどの病気にかかったときの身体的、精神的な辛さを和らげるためのケアのことをいい、病気の積極的な治療とも並行して行われます。
「ターミナルケア(終末期医療)」は「緩和ケア」の中に含まれるもので、特に末期がんの患者さんなど、治すことのできない病気の患者さんが、病気を完治させることではなく、「身体的な痛みや辛さを和らげたり、精神的な不安を取り除いたりすること」を目的に、毎日の生活を少しでも穏やかに過ごせるように行われるケアのことです。
ペット医療では、「緩和ケア」や「ターミナルケア」という言葉を意識的に区別しては使っていませんが、どちらも、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることが目的です。

人のターミナルケアではQOLを重視して、病気による痛みや辛さをできるだけ取り除くことに加えて、残された時間をできるだけ充実したその人らしい生活を送れるようにすることを目的とします。
ペットのターミナルケアも同様に、最後まで穏やかに、その子らしい充実した生活を送れるようにサポートしていきます。どのようなサポートができるかは、ペットの病気の状態によっても違いますので、獣医師や動物病院のスタッフとよく相談しながら進めましょう。

ターミナルケアという選択をするときは、治すことが難しい病気にかかったとき、治療を続けてきたがこれ以上治療をしても治る見込みがないとき、高齢で積極的な病気の治療に耐えられないと判断されたとき、など様々です。ターミナルケアを行うからといって、積極的な治療を行うことができなくなる訳ではありませんし、ターミナルケアを選択することがペットの命を見捨てることになる訳ではありません。
愛するペットができるだけ苦しまないように、最後まで穏やかに暮らせるように、サポートしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのQOLとは?

ペットと最後まで穏やかな生活を送るために

QOL(クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life))は「生活の質」とも訳されますが、高齢化がすすんだ人間社会ではよく耳にする言葉です。病気や高齢になったからといって快適な生活をあきらめるのではなく、住み慣れた家に住み続けたり、ふつうに食べたり、趣味を続けたりして、心地良い生活を送ろうという考え方です。
ペットにとってのQOLとは、痛みやストレスを感じない暮らし、十分量のおいしいご飯、安心して眠れる環境、飼い主さんと一緒に過ごす時間、などになります。

「かわいいペットといつまでも一緒にいたい」という気持ちは、ペットをかわいがっている人の共通の願いです。でも、動物は人間の数倍のスピードで歳をとり、だんだん病気がちになり、いつかは先に逝ってしまいます。

ペットが歳を重ね、腎臓病やガンなど、命にかかわる重大な病気が見つかったときの選択肢として、投薬や手術、放射線治療など、少しでも長く生きられるように「治療」を行う方法や、病気を治すことよりも痛みを取り除くことに重きを置いた「緩和ケア」を行う方法などがあります。治療を進める中でも、できるだけペット自身の負担が少なく、痛みやストレスを感じずに済む治療方法を選んであげること、それがQOLを上げることになります。
ペットのケアにかけられる時間やお金などはそれぞれで異なるでしょうから、飼い主さんは獣医師とよく相談をして、納得できる治療方針を選びましょう。ペットの治療方針を決められるのは、最終的に飼い主さんだけなのです。

「苦しまないで逝かせてあげたい」これも飼い主さん共通の願いでしょう。そして、かわいいペットを最後まできちんと見送ってあげることは、飼い主さんの大事な使命です。

選択肢の中には、「安楽死」もあります。当然とても重い決断です。しかし、痛みや苦痛が強く、今後も回復する見込みがないという場合は、穏やかに最期を迎えさせてあげるという選択肢も「あり」と考えます。
安楽死を選んだ場合、穏やかに、眠るように逝くため、痛みや辛さを取り除くことができます。また、家族が見守る中で見送ることもできます。
ただし、安楽死は、家族の中に一人でも迷いを持っている人がいるときは、まだ決断すべきではありません。十分納得してからでないと、ずっと後まで後悔を抱えることになりかねません。
ペットの病状や今後の見通し、ケアを行う飼い主さんの時間やお金の問題、気持ちの問題などについてよく考えましょう。家族でよく話し合い、獣医師や信頼できる人に相談してみましょう。大切なペットのために何を選択すべきか、本当に難しい問題です。

※ 申し訳ありません。ペットサポートぐる~の往診診療では、安楽死の対応は実施しておりません。

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ペット衛生管理の豆知識:鳥に与えてはいけない食べ物

鳥が食べてはいけない危険な食べ物

少しなら・・と、かわいい小鳥(コンパニオンバード)に人の食べ物をあげてしまう方がいますが、小鳥は体が小さいため、ほんの少しでも命にかかわることがあります。鳥に与えてよいとはっきり分かっている食べ物ならいいですが、鳥への安全性が証明されていない食品を与えるのはやめましょう。

チョコレート:犬猫同様、鳥にもチョコレートは有害です。チョコレートに高濃度で含まれているカフェインとテオブロミンが循環器及び中枢神経に障害をもたらします。症状は、嘔吐、下痢、元気消失、ふるえ、痙攣、ひどいときには死に至る場合もあります。放鳥時には食べこぼしもしっかり片付け、カフェイン入りの飲料なども鳥がいるところに置かないようにしましょう。

アルコール類:誤って鳥がアルコール飲料を口にしないようにしましょう。急激な血中アルコール濃度の上昇により中枢神経の抑制が起こり、抑うつ、運動失調、こん睡などが起こり、ひどいときには死亡します。

アボカド:アボガドに含まれるペルシンという物質が、鳥の肺や心臓に対して毒性をもちます。産地や品種によって毒性は異なるようですが、食べたがる鳥もいますので注意が必要です。食べた量が少しであれば、床に降りる、食欲不振、膨羽、呼吸数増加、開翼、沈うつなどの症状、たくさん食べた場合は、重度の呼吸困難を起こして死亡します。

観葉植物: 食べ物ではありませんが、ポトスなどのサトイモ科の観葉植物も食べると危険です。これらには不溶性のシュウ酸カルシウム結晶が多量に含まれており、口腔内や舌の粘膜組織に物理的損傷を引き起こしますので、食べた直後に症状が起こります。症状は吐出、口腔内の疼痛による開口、あくび、嚥下困難、舌や口腔内の紅斑や潰瘍形成、ひどいときには呼吸困難をおこす恐れもあります。

重金属: 鉛や亜鉛の重金属を過剰摂取すると重金属中毒になります。鳥は砂嚢に小石などを飲み込んで物理的に消化を助ける習性があるため、小石だけでなく金属片までもかじって飲み込んでしまいます。鳥種によっても感受性は違いますが、鳥は重金属中毒になりやすいといわれます。体も小さいことから、放鳥時にはかじらないように注意が必要です。症状は溶血によるフンの濃緑色化と尿酸の黄~緑色化、食欲減退、嘔吐、食滞、便秘、膨羽、腹痛症状、翼の下垂、脚麻痺、腎不全、精神異常、痙攣などの様々な症状が起こります。亜鉛中毒は鉛中毒より発生が少ないですが、金属の防錆加工「メッキ」に用いられており、ケージやおもちゃにも使用されている場合もありますので注意しましょう。

塩分、たんぱく質、脂肪分の多い食品:塩分が高い人の食べ物を与えられたり誤食したりすると、多飲多尿や中枢神経症状などを引き起こすことがあります。たんぱく質が過剰になると、成長阻害、行動異常、多飲多尿、腎不全や肝障害を起こすことがあります。脂質は嗜好性が高いため過食しやすく、食べ過ぎると、脂肪肝、肥満、下痢になったり、羽毛の汚れなどが見られます。塩分、たんぱく質、脂肪は、鳥にとって必要な栄養素です。成長や繁殖ステージに合った適正量を与えることが大切です

食べたものや食べた量にもよりますし、食べ過ぎると体に良くないものもあります。鳥によっても症状が出る場合と出ない場合があります。また、症状は食べてからすぐ出るとは限りません。ただ小鳥は体が小さいので、少量で大きな影響がでることがあります。誤って危険なものを口にしてしまった場合や、元気消失、痙攣、フンの色がおかしい、ふらつくなどの症状が見られたときには、すぐに鳥に詳しい獣医師に相談しましょう。

やはり放鳥中の事故が多いです。放鳥前には、その都度、放鳥スペースの食べ物を片付け、危険なものがないか確認しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:猫に与えてはいけない食べ物

猫が食べてはいけない危険な食べ物

今回は猫です。猫は肉食動物です。猫にあげてはいけない食べ物を知っておきましょう。

ネギ類:犬と同じように猫にも、玉ネギ、長ネギ、アサツキ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどのネギ類を食べさせてはいけません。これらには猫の赤血球を壊す物質が含まれていて、大量に摂取した場合には、貧血を引き起こすことがあります。食べた量や個体差にもよりますが、食欲低下元気消失、尿が橙~暗赤色などの症状が表れたりします。

チョコレート:犬と同様、チョコレートは猫にも中毒を引き起こします。チョコレートにはカフェインとテオブロミンが高濃度で含まれており、量やチョコの種類にもよりますが、嘔吐、下痢、元気消失、ふるえ、痙攣、ひどいときにはショック状態になったり死に至る場合もあります。もちろんカフェイン入りの飲料なども猫がいるところに置かないようにしましょう。

ぶどうと干しぶどう(レーズン):少量でも猫にとって病気の原因になることがあります。嘔吐、元気消失、下痢や排尿の減少など、ひどいときには腎不全を引き起こす場合もあります。ブドウやレーズンは調理台や猫の届く場所に置かないようにしましょう。

アルコール:アルコールのエタノールや、ビールに含まれているホップも、猫にアルコール中毒を引き起こす可能性があります。アルコール中毒の症状は、嘔吐、情動不安、ふるえ、痙攣、こん睡状態などです。

香辛料:唐辛子、胡椒、マスタードなどは、胃腸を刺激して下痢をおこしたりします。

牛乳:猫は牛乳に含まれる乳糖を消化するのが得意ではなく下痢をすることがあります。大丈夫な猫もいますが、猫にあげる場合は猫用ミルクをあげましょう。

生肉、生卵、生の魚介:猫も生卵や生肉によりサルモネラ中毒や大腸菌中毒を起こし、嘔吐や下痢などをおこすことがあります。生卵は皮膚や被毛にトラブルを起こすことがあります。生の魚介類も消化が悪く、下痢や食物アレルギー等の消化器系の不調が起きたり、場合によってはビタミン欠乏症をおこす場合もあります。

塩分や糖分、脂肪分の多い食品:塩分の多い食品はもちろんダメです。猫が好きそうな魚の練り物やハムソーセージなどの加工品は塩分が多すぎます。塩分を摂り過ぎると心臓や腎臓に負担がかかります。また糖分や脂肪分の多い食事は、カロリーオーバーから肥満の原因になります。

消化管を傷つける可能性があるもの:肉や魚の骨などはのどに詰まったり、消化管を傷つけたり、歯を傷めたりする恐れがありとても危険です。骨を食べさせるのも避けるべきです。

ドッグフード:猫と犬は必要とする栄養素のバランスが違います。ドッグフードには猫に必要な栄養素が必要量含まれていません。猫はビタミンAやたんぱく質の量が犬より必要です。また犬はタウリンやアラキドン酸を体内合成できますが、猫はこれらを食べ物から摂取する必要があります。食べると危険というわけでありませんが、猫には猫のキャットフードをあげましょう。

その他、室内で育てている植物にも、シクラメンやポインセチアなど猫が食べると危険なものがありますので、間違って食べないように猫のいる部屋には置かないようにしましょう。

食べた量にもよりますし、猫によっても症状が出る場合と出ない場合があります。また、症状は食べてからすぐ出るとは限りません。猫がこれらを食べてしまった場合は(食べたと思われるときも含む)様子をよく観察し、いつもとは違う様子が見られたときには、すぐに獣医師に相談しましょう。

猫に食べさせたくない食べ物は、猫が届かない場所に保管しましょう。調理や食事の最中は、調理台やテーブルの上に乗らないようにさせましょう。また、ゴミ箱から食べたりできないように、食べ残しもあげないようにしましょう。

人の食べ物は、塩分や糖分、そして脂肪分などが多いものが多く、猫には害になります。基本的には、人間の食べ物は猫に与えないことが一番安全です。猫を危険にさらさないためには、主食には猫の年齢に合った「総合栄養食」のキャットフードをあげるのが最良です。

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ペット衛生管理の豆知識:犬に与えてはいけない食べ物

犬が食べてはいけない危険な食べ物

犬のお散歩のときに注意したい秋の有害な植物についてはすでに書きましたが、食欲の秋ですので、食べ物のことをもう少し。人間にはご馳走でも ペットにとっては害になるものもありますので、ペットにあげてはいけない食べ物を知っておきましょう。

まずは、犬が食べてはいけない食べ物です。犬が食べると中毒をおこしたり、消化が悪くて下痢を引き起こしたりします。

ネギ類:タマネギ中毒は有名ですが、長ネギ、アサツキ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど、ネギ類はどれも有毒です。これらには赤血球を壊す物質が含まれていて、犬に深刻な貧血を引き起こす可能性があります。症状としては 元気消失、筋力低下、尿が橙~暗赤色になったりします。

チョコレート:チョコレートにはカフェインとテオブロミンが高濃度で含まれており、どちらも犬に中毒を引き起こします。量やチョコの種類にもよりますが、症状としては、嘔吐、下痢、元気消失、ふるえ、痙攣、ひどいときにはショック状態になったり 死に至る場合もあります。もちろんカフェイン入りの飲料(コーヒーやお茶)なども犬が届くところに置かないようにしましょう。

ぶどうと干しぶどう(レーズン):食べても問題ないこともありますが、嘔吐、元気消失、下痢や腎不全を引き起こす場合もあります。

アルコール類:アルコールのエタノールや、ビールに含まれているホップは、犬にアルコール中毒を引き起こす可能性があります。アルコール中毒の症状は、嘔吐、情動不安、ふるえ、痙攣などで、ひどいときには死に至ることもあります。

香辛料:トウガラシ、コショウ、マスタードなどは、嗅覚の強い犬には刺激が強すぎます。胃腸を刺激して下痢をしたりもします。

塩分の多い食品:みそ汁・ラーメン、ハム・ベーコン、カレー、ポテトチップスなどは、犬にとって塩分が強すぎます。塩分を摂り過ぎると心臓に負担がかかるなど、様々な弊害がでてきます。

消化管を傷つける可能性があるもの:鶏の肉や魚の骨などの硬い骨は、噛み砕いたときに裂けてのどや消化管に刺さる可能性があり危険です。

その他:マカダミアナッツ、アボカドもあげてはいけません。冷たい牛乳や生の魚介など、消化の悪いものもあげるのをやめましょう。生卵や乳製品も、下痢や食物アレルギー等の消化器系の不調を招くことがあります。

食べた量にもよりますし、犬によっても症状が出る場合と出ない場合があります。また、症状は食べてからすぐ出るとは限りません。犬がこれらを食べてしまった場合は(食べたと思われるときも含む)様子をよく観察し、いつもとは違う様子が見られたときには、すぐに獣医師に相談しましょう。
基本的には、人間の食べ物を犬に与えないことが一番安全です。食べているのをジッと見つめられるのを無視するのは難しいかもしれませんが、ペットを危険にさらさないためには、栄養バランスも含めてきちんと考えられたドッグフードを与えるのが最良です。

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ペット衛生管理の豆知識:秋のダニにも注意!

秋の草むらにもダニがたくさん潜んでいます

ペットのダニ被害は春から夏の季節に多いと思っている方もいらっしゃると思います。でも実は、秋のダニにも注意が必要です。
ダニは気温が20℃以上あれば繁殖できますので、春になれば成ダニが活動を始め、夏にかけて産卵します。そうして秋は、成長した若ダニや幼ダニが増えている状態となっており、冬眠に備えようと活発に活動しています。つまり秋の草むらには、ダニがたくさん潜んでいて、犬や猫がくるのを待っています。

野外で動物を吸血するダニは、主に家の外にいるマダニで、家の中にいるダニとは異なるダニです。マダニは8本脚からなる節足動物で、肉眼でも確認できる大型のダニです。固い外皮に覆われており、吸血前の成ダニの大きさは種類により3~10mmくらい。日本ではフタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどが動物に寄生して吸血します。これに対し、家の中にいるヒョウヒダニやイエダニなどは約1mm以下と非常に小さく、マダニとは違う種類のダニです。

マダニは草むらなどに入ってきた犬や猫などの体について吸血します。吸血中のマダニはペットの血液を吸ってパンパンに大きくなります。是非そうなる前に、お散歩など、外から帰ってきたら、ペットの体にダニがついていないか十分チェックしてあげましょう。特に、まぶたや耳の先などの顔回り、お腹、しっぽ、足の指の間などの皮膚の柔らかい部分がダニに狙われやすい場所です。ついたばかりのダニはまだ小さく、ゴミやホコリのように見えます。ペットの体にいつもとは違う何かがついているようなら、よく見て確認しましょう。でももしマダニがついていたとしても、無理にむしり取ってはいけません。無理に取ると、マダニの口器がペットの皮膚に残ってしまい化膿したりしますので、取り残しのないように注意深くしっかり除去しましょう。もし自分で除去できない場合には、動物病院に行って除去してもらいましょう。

なお、人もマダニに咬まれる場合があります。咬まれると、皮膚が発赤して腫れることもありますが、かゆみを伴わないことも多く、吸血されていることに気づかない場合も多いようです。吸血して皮膚にまだついているマダニを見つけた場合は、ペット同様、無理にとるとダニの口器が皮膚に残る可能性があるため、皮膚科等の医療機関を受診することをおすすめします。近年ではダニが媒介する人の感染症も増えてきています。医療機関にはその地域の感染症情報が集まっていますので、いつどこで咬まれたのかなどの状況も医師に伝えましょう。

ちなみに、マダニが媒介する動物由来感染症のひとつに、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気があります。SFTSウイルスをもつマダニに人が咬まれかまれると、このウイルスに感染して高熱がでたり、死亡することもあります。2011年に中国で初めて特定され、日本では2013年に山口県で確認されました。西日本を中心に900人以上の感染者が出ており、国内の死者数はわかっているだけで100人に上るとのことです。実はこのSFTS、令和3年以降 静岡県内でも毎年確認されています。今年も7月時点で すでに3例の報告があります。 SFTSウイルスをもつマダニは、シカやイノシシなどの野生動物に寄生しており、これらの移動に伴って、感染地域を広げているとみられています。シカやイノシシなどの野生動物はSFTSウイルスに感染しても大丈夫だそうですが、人や犬・猫が感染すると高い致死率を示すとのことですので、軽く考えずに十分注意しましょう。

ペットが病気にかからないようにするために、日ごろからペットのダニ駆除の予防薬を使い、ペットの体のチェックを怠らずに行いましょう。もちろん人も山や草むらに入るときには、ダニに咬まれないように対策しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:秋のお散歩の注意点

犬に有害な秋の植物を知っておきましょう

秋は外で過ごすのにちょうどいい、気持ちのいい季節です。ワンちゃんとのお散歩や外で遊ぶ時間が自然に増えると思いますが、外には犬にとって有害な植物もあるので注意しましょう。

〇銀杏:イチョウの木の実である銀杏は、犬にとって有毒です。イチョウの木が多い場所は銀杏の落下も多く、犬が興味をもって食べてしまうこともあります。中毒症状が出てしまう摂取量は個体によって差がありますが、嘔吐やけいれん、呼吸困難などの症状がおき、ひどいときには意識不明になってしまうこともあります。大量に銀杏が落ちていそうな場所には行かないように注意しましょう。

〇毒キノコ:秋の味覚、野生のキノコ。緑の多い公園には意外なところにキノコが生えていたりします。毒キノコを食べれば人でも命にかかわりますが、犬が食べても同じです。キノコは見分けが難しいので、基本的に野生のキノコは食べさせないようにしましょう。

〇キク、カーネーション、ヒガンバナ、ベコニア、シクラメンなど:秋に咲く花には、犬にとって有害なものがたくさんあります。身近なキク、カーネーションなども、犬にとっては有害です。そのほかにもイチジクの葉や枝もダメです。食べれば中毒症状を起こしますし、触れるだけで皮膚炎を起こしてしまう子もいます。これらの植物には十分注意し、触ったり食べてしまわないように気を付けましょう。

犬に玉ねぎやチョコレートをあげてはいけないことは有名ですが、これまた秋の味覚、ブドウ(干しブドウも)も犬にあげてはいけません。犬にとって危険な食べ物を知っておくことは、愛犬を守ることにつながります。
犬に危険な秋の植物を知った上で、ワンちゃんと一緒にたくさんお出かけして、秋の景色を楽しみましょう。そして気温の変化に気を配り、しっかりと体調管理をしてあげましょう。

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