ペット衛生管理の豆知識:犬猫の年齢

ペットの人間換算年齢を知っておきましょう

「この子は人間で言うと何歳ぐらいになるんだろう?」 ペットの人間への換算年齢、是非知っておいてください。犬や猫の年齢を人間に換算すると下表のようになります。もちろん目安ですので、犬種や個体差、飼われている生活環境によっても違いはでてきます。

犬の寿命は15年弱。大型犬の方が小型犬よりも寿命が短い傾向にあるようです。これは、大型犬の方が小型犬より成長スピードが速く、大きな体を維持するために体への負担が大きくなっているためと考えられます。
一般的に、小型犬・中型犬は1歳で人間に換算すると17歳位になり、その後1年ごとに人間の4年分成長するといわれています。大型犬では2歳で20歳位、その後は1年を人間の7年として計算します。
何歳からシニア犬(老犬)、というはっきりとした定義はありませんが、小型犬・中型犬で8歳位、大型犬では7歳位からです。老化は見た目や行動にも出てきますが、犬の人間への換算年齢を意識することで、老化のサインに早めに気づいてあげられ、年齢に合ったケアをしてあげることができます。

猫の寿命はだいたい15年。最近では20年以上生きる猫も少なくないようです。このうち、家の外に出る猫より外に出ない猫の方が、交通事故や感染症のリスクが少ないため、長生きする猫が多いようです。
猫の人間への換算年齢も、小型犬とほぼ同じです。猫も1歳で人間に換算すると17歳位になり、そこからは1年間で約4歳ずつ歳をとっていきます。猫も7歳位から徐々に老化が始まります。11歳は人間でいう60歳位。白髪が増えたり、動きがゆっくりになったりしてきます。

犬や猫たちは、1歳から1歳半を過ぎたらもう立派な大人です。そうして飼い主の年齢をあっという間に追い越していきます。
いつまでも永く一緒にいたいなら、バランスの摂れた食事や体重管理で太り過ぎに注意し、適切なワクチン接種を行ったり、体を触ってあげたりなど、日々の健康管理をしっかりしてあげましょう。 そして、人間への換算年齢を意識することで、成長や老化など、年齢に合ったケアをしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:冬に多い病気

冬はペットの免疫力も下がります

寒い冬はペットにとっても病気にかかりやすい季節です。なぜなら、冬は気温が下がって空気が乾燥するから。気温が下がると免疫力が低下しますし、乾燥すると、鼻やのど粘膜の防御機能が低下して、体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入しやすくなります。寒いと運動不足にもなりがちですので体力も落ちます。免疫力を落とさないように、適度の運動をして、ストレスのない生活環境を整えてあげることが大切です。

冬にかかりやすい病気と、予防のための注意点をまとめてみました。

〇泌尿器系の病気: 冬は寒いため、ペットもあまり水を飲まなくなります。その結果、排尿の間隔が長くなり、膀胱炎や尿路結石などの病気を発症しやすくなります。
⇒ 飲水量が多くなるように工夫してあげましょう。ウェットフードの比率を増やす、給水場所を増やすというのもいいかもしれません。排尿の量・色・回数などをチェックしましょう。排尿時の様子がそれまでと違う場合は、動物病院に相談してみましょう。

〇関節の病気: 寒くなると動かなくなって、さらに血流が滞って筋肉がこわばります。そのため、寒い中で急に運動をさせようとすると、関節などに負担がかかってしまいます。
⇒ 寒い場所で、すぐに激しい遊びや運動をするのは避けましょう。動きはじめなど、こわばった関節には負担がかかりますので、フローリングなどの滑りやすい床には、カーペットを敷くとか滑り止めを貼るなどの工夫をしてあげましょう。

〇心臓や循環器系の病気: 心臓など循環器系の異常は、咳をすることから見つかることが多い病気です。咳は呼吸器系の病気ですが、心臓の病気を発見する重要な指標でもあります。冬は、冷たい空気が呼吸器への刺激となりさらに咳を誘発するため、心臓の病気が発見されやすくなります。
⇒ 気になる咳をしているようなら、動物病院に診てもらいましょう。加えて、短期間で体重が減ってしまった場合なども心臓疾患の可能性があります。

〇感染症: 冬は気温が低く乾燥しますので、呼吸器や下痢などの感染症にかかりやすい季節です。ペットが集まるところに行く場合は、さらにリスクが高まります。
⇒ 感染症予防の基本はワクチン接種です。ワクチン接種が推奨されているものは予防接種をしましょう。忘れないように、年に1回、時期を決めて接種しましょう。
ペットホテルなど不特定多数のペットが集まる場所は、特に感染症のリスクが高くなっていますので、自分のペットに予防接種を行うとともに、予防接種や寄生虫駆除を義務付けている施設を利用すると安心です。
幼齢ペットや高齢ペットは体力や免疫力が低くなっていますので、特に注意してあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:寒いときの犬のお散歩

寒い冬の犬のお散歩とその注意点

今回は、冬に犬を散歩させるときの注意点です。寒い冬のお散歩は、飼い主さんにとってもおっくうに感じることが多いと思います。でも、気温の低い冬は、エネルギーを蓄えるために食欲が旺盛になる時期ですので、散歩に行かないと犬は太ってしまいます。犬の健康維持のためにも、冬でもできるだけ散歩に行きましょう。

犬は比較的寒さに強い動物で、冬の低い気温の中でも元気に活動する犬種が多く、暑い夏よりも寒い冬の方が得意という犬が多いです。童謡にも「犬は喜び庭駆け回り」というフレーズがありますよね。
しかし、チワワやヨークシャー・テリアなどの小型犬では、被毛がダブルコートではなくシングルコートなため、寒さに弱い犬種もいます。また、子犬や老犬、痩せた犬や持病のある犬なども寒さが苦手です。これらのワンちゃんには、防寒対策をしてあげましょう。

犬を散歩させるときの寒さ対策のひとつは、セーターやジャケットなどの服を着せることです。こうした防寒着を着せると、家の中と外との温度差による体への負担を軽減させることができます。歩くのに負担にならない防寒着を選び、外でも快適に過ごせるようにしてあげましょう。

なお、気温がとても低い日、冷たい風の強い日、寒くて雨や雪が降っている日、また犬の体調がよくないときなどは、無理にいつもどおりの散歩へ行かなくても大丈夫。楽しいはずのお散歩が負担になってしまいます。いつもよりも短い時間にしてあげる、または行かないという判断も、ときには必要です。

散歩に出かけるときは、家の中と外との温度差に気をつけましょう。暖かい室内からいきなり犬を外に連れ出すと、体が慣れていないのでこたえますし、関節にもよくありません。外へ出る前に、気温が低い玄関などで外へ出る準備をゆっくりして、寒さに慣らしましょう。外に出たら、まずはゆっくりと歩いて、犬の様子を見ながら少しずつペースを上げましょう。体に負担をかけないことが大切です。

また、冬のお散歩は、朝や夕方、辺りが暗いことも多いと思いますので、車や自転車、人の往来にも気を配りましょう。事故に巻き込まれないように、光る首輪や目立つ色のリードやハーネス、反射板などを着用しましょう。 

散歩から帰ったら、防寒着を脱がせるか、室内用のものに着替えさせてあげましょう。防寒着は家の中と外との気温差を防ぐためのものなので、そのまま着ていては効果が薄くなってしまいます。
雨や雪などで体が濡れてしまったときは、乾いたタオルでしっかり拭き、ドライヤーを使ってしっかりと乾燥させましょう。
冬は乾燥しますので、犬にも肉球などの保湿ケアをしてあげると、なお安心です。乾燥するとひび割れてしまうこともありますので、保湿成分が含まれたジェルやクリームなどを塗ってあげるといいですね。

冬の犬のお散歩は、できるだけ犬の体に負担がかからないように様子をよく観察しましょう。特に寒さに弱い小型犬には防寒着を着せるなどして、温度差の負担を小さくしてあげましょう。寒い冬にも、犬が快適に過ごせるように工夫して、犬と一緒にお散歩を楽しみましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの冬の食事

ペットの生活環境によって食事内容を調整しましょう

昼間は暖かい日もありますが、朝晩はだいぶ寒くなりました。「冬になると暖かいこたつに座りっきりで、お菓子やみかんを食べてばかり。なので、つい太ってしまって・・・」というのは、人間ばかりではありません。ペットも同じです。冬のペットの食事についても知っておきましょう。

室内飼育で暖房完備のところで過ごせるペットは、年間を通じて必要なカロリーはあまり変わらないと考えて大丈夫です。ただ動物は本能的に、寒い冬に備えて体に脂肪を蓄えようとしますので、秋から冬にかけて食欲が旺盛になります。さらに、冬は寒くて動かなくなり、人同様ペットの運動量も減る傾向にあります。暖かいところにいて今までと同じ量の食事をとり、動かなければ体重が増えてしまうのはあたり前です。運動量が減っているようなら、やはり食事内容と食事量を調整しましょう。できれば、冬でも適度な運動はさせてあげるようにしましょう。

一方で、外で暮らしている動物たちは、寒さが厳しくなってくると、それまでと同じ餌の量では、どんどん痩せてしまいます。なぜなら気温が低下すると、体温を保つために多くのエネルギー(カロリー)を必要とするから。外で飼っている場合、冬は夏より2~3倍のエネルギーを必要とすることもあります。寒い外気にさらされるペットには、食事内容や食事量を変えてエネルギーを増やしてあげましょう。その際は、是非、良質のタンパク質や脂肪を増やしてあげてください。外に限らず、寒い環境で暮らすペットにとって、エネルギーの増量は体温維持のために必要です。

それぞれのペットが暮らす環境を考えて、食事内容と食事量を調整しましょう。できれば定期的に体重測定をして体重を管理し、食べた量も把握しましょう。実際にペットの体や食欲を見ながら、季節の変化に合わせて食事を変えていくことは、ペットの健康管理上とても大切なことです。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの寒さ対策

室内ペットの寒さ対策と注意点

ペットが生活する環境の温度と湿度に気を配りましょう。大きな温度差が生じると、血圧に影響して心臓に大きな負担をかけますので、気温が下がる朝方や夕方には特に注意してあげましょう。室温の目安は20℃前後です。ペットが生活をしている高さに温度計を取り付けて、温度をチェックしてあげましょう。湿度の目安は40~60%程度です。空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾いて細菌やウィルスに対する抵抗力が弱まりますので、湿度が低すぎる場合は加湿器の利用も検討しましょう。
また、暖房が効きすぎて、ペットが暑がっていないかも観察しましょう。ハァハァとあえぐような荒い口呼吸をしていたら要注意です。避難できる涼しい場所も作っておくと安心です。

室内ペットの具体的な寒さ対策とその注意点です。

〇ペットは室内で、冷たい空気が溜まりやすい床に近い場所で生活しています。お腹には毛も少なく、下からくる冷気にさらされますので、寝床には毛布などを下に敷いてあげると暖かくすごせます。

〇犬の場合、子犬、高齢犬、短毛種の犬や小型犬では、セーターやベストなどを着せて寒冷対策をしてあげた方がよいこともあります。

〇ペットのために暖房器具を使用する場合は、エアコンやホットカーペットなど、なるべく火を使わないものを選びましょう。
エアコンは上部に温かい空気が溜まりますので、サーキュレーターを使用して、温かい空気を部屋の下の方まで循環させると効率的に暖めることができます。
ホットカーペットを使用するときは、低音やけどに気をつけましょう。床を覆いつくさないサイズにし、ペットが暑いと感じたときにはすぐにカーペット以外の涼しいところへ移動できるようにしてあげましょう。

〇こたつにも注意が必要です。ペットによってはこたつの中で出口がわからなくなってしまったり、中で寝てしまうと低温やけどや熱中症になってしまうこともあります。
こたつや電気ストーブなどの電化製品を使うときには、ペットが電気コードをかじって感電したりしないようにコード対策もしておきましょう。

〇どうしても火を使うストーブなどを使うときは、ペットが近づけないように、ストーブガードなどを設置しましょう。

ペットをよく観察して、寒そうにしていないか見守りましょう。温度と湿度の管理をしているのに、震えていたり、体を縮こませていたりしたら、病気のこともあります。
寒くて水を飲む量が減ると尿の量が減って泌尿器系の病気になってしまうこともあります。体が冷えて下痢を起こすこともありますので、尿や便の状況もよく観察しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットロス

~出会えてよかった 一緒にいてくれてありがとう~

そのときが近づいたと感じたら、飼い主さんは、心の準備をしておきましょう。
そして、ペットとの残された大切な時間を、悔いが残らないよう、できる限りのお世話をしてあげましょう。今まで一緒にいてくれたペットに、「ありがとう」「大好きだよ」と、優しく声をかけてあげましょう。

ペットロスとは、ペットを亡くした悲しみや喪失感のことです。「いつもいるところにいない」「もうお世話することができない」など、飼い主にとっては非常に辛く寂しいことです。
「あのときもっと遊んであげればよかった」「もっと早く動物病院へ連れていくべきだった」という後悔の気持ちが、ペットロスを長引かせることがあります。ペットロスも重症化すれば、無気力、倦怠感、食欲不振、不眠などの症状がでてきます。
ペットが元気なときから最大限の愛情を注いで精一杯のお世話をしてあげることが一番ですが、最後が近いと感じたときからでも遅くありません。精一杯の愛情をそそいでお世話してあげましょう。「やれることは全てやった」と思えることが、後悔の念を少し軽くしてくれます。そして、ペットロスを感じたら、誰かに気持ちを聞いてもらうことも大切です。

これはひとつの考え方ですが、ペットが先に旅立つことは、飼い主さんにとって不幸なことではありません。考えてみてください。万が一、飼い主さんが先に逝ってしまえば、残されたペットは幸せに生きていけるでしょうか。かわいいペットが逝くのを自分で見守れることは、飼い主冥利につきます。自分のもとでしっかりと寿命を全うし、最期を見守らせてくれたペットに感謝し、「ありがとう」「よくがんばったね」と言ってあげましょう。
そして、こんな喪失感や悲しさを感じさせてくれるほど大きい存在だったペットに出会えたことに感謝し、ずっと一緒にいてくれた幸せを想い出しましょう。ペットもずっとあなたを想っています。

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ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア2

最後まで快適に過ごせるようにしてあげましょう

食べたがるものをあげましょう
老化や病気の悪化によって食欲がなくなってしまったり、歯周病や口内炎などの痛みでドライフードを食べたがらなくなってしまったときには、ペットが食べたがるものを与えてみましょう。食事を楽しめるように、少し電子レンジで温めて香りを立たせたり、ぬるま湯でふやかしてあげると食べてくれることがあります。ウェットフードの方が好きなら、そちらをあげてみましょう。水分もとれますのでおすすめです。
必要に応じて、飼い主さんが手やスプーンなどで食べさせたり、体勢が安定しない場合は、体を支えてあげたりすると、たくさん食べてくれることがあります。
また、歳をとると前傾姿勢が負担になりますので、食器の位置を少し高めにしてあげると食べやすくなります。
※ 強制給餌は、回復の見込みがある場合に行うことが多い処置法です。ターミナルケアにおける強制給餌には賛否両論ありますが、ペットが自力で食べられない場合に、栄養失調や脱水症状にならないよう、餌を団子状にして口の中に入れたり、スポイトで餌を口の中に流し込んだり、飼い主さんが強制的に餌を食べさせるというものです。無理に入れても消化吸収できないこともありますし、誤嚥することもありますので、獣医師に相談してみましょう。

トイレへの移動を工夫しましょう
動物は、足腰が弱っても自力でトイレに行きたがる傾向があります。寝床からトイレまでの障害物をなくし、通路に滑り止めを敷いたり、トイレの入口にスロープを付けて段差をなくしたりしましょう。間に合わないこともありますので、可能性のある場所全面にペットシーツも敷いておくのもありです。自分でトイレまで行くことが難しい場合には、定期的にトイレまで連れて行ってあげましょう。

身体を拭いてあげましょう
自分で自分の体を舐めてきれいにするセルフグルーミングする猫も、高齢になったり病気で身体が辛くなったりすると、セルフグルーミングをしなくなってしまうことがあります。
ペットができるだけ清潔に快適に過ごせるように、優しくブラッシングをしたり身体を拭いてあげましょう。ペットの身体を拭いてあげながら優しく話しかけたり、身体をマッサージしながらなでてあげるなどのスキンシップも、大切なターミナルケアの一つです。飼い主さんの優しい声や触ってくれる感触で、ペットも安心します。

寝たきりになってしまったら
寝たきりになってしまったら、寝床にはクッション性のある素材のものを使い、厚みのあるクッションもうまく利用して、床ずれにならないよう数時間おきに体位を変換してあげましょう。オムツも上手に利用しましょう。人間用の尿取りパッドも役に立ちます。体をなでたりマッサージなどのスキンシップを行うと、痛みの軽減に効果があることがあります。

酸素吸入も効果が期待できます
老化で呼吸機能が衰え身体が酸欠状態になると、全身にさまざまな症状が現れます。酸素吸入をすれば、体内の酸素濃度が高まり、酸欠を緩和して体を楽にする効果が期待できます。酸素吸入は、酸素室にペットを入れて吸引させる方法が一般的です。機材は専門業者からレンタルでき、自宅にも設置できますので、ペットにはストレスや負担の少ない方法です。

獣医療によるペットの緩和ケア
ターミナルケアで行われる医療行為は、病気の原因そのものを治療して完治させたり、延命を行うことを目的とするのではなく、今ペットを苦しめている症状をできる限り緩和させ、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることを目的とします。
最も重視されるのは痛みや辛さ、精神的な不安を取り除くことであり、状態に合わせて、ペットに負担をかけずに症状を緩和させるための治療法を選択していきます。治療には様々な方法があり、介護するご家族の負担も考慮しながら、それぞれのペットに応じた治療を行います。
ご自宅では鎮痛剤を中心とした薬剤投与や皮下点滴による補液が行われることが多いですが、それぞれの治療については獣医師とよく相談しながら、獣医師の指示により行いましょう。
◆薬剤投与
必要な薬剤は獣医師により処方されます。獣医師の指示に従って投与しましょう。
特に痛みは、ペットのQOL(生活の質)を著しく低下させるものですので、痛みに対する適切な治療を行うことはターミナルケアでとても重要なことです。
◆皮下点滴(皮下補液)
皮下点滴は、脱水症や貧血、慢性腎不全などの状態を改善するために行います。皮下点滴は背中の肩甲骨近くの皮下に点滴液を入れます。点滴液を吊るして投与する場合と、皮下注射で補液する場合があります。獣医師が行う静脈点滴より吸収速度は劣りますが、短時間で終わり、ペットの身体への負担が少なく、比較的安全で、自宅で飼い主さんが自分で行うことができます。ご自宅で行う場合は獣医師の指示に従いましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア1

大きな負担を一人で抱え込まないで

持続的な静脈点滴が必要だったり、容体が不安定な場合は、病院に入院して対応することもありますが、ペットのターミナルケアは、住み慣れたご自宅で、飼い主さんご自身がケアを行うことが一般的です。入院や通院でたくさんの治療を施すこと自体、ペットには大きなストレスになることもありますし、なにより日々のお世話が重要です。
しかし、ご自宅でターミナルケアを行うということは、飼い主さんにとっては大変重い選択になります。

ペットのターミナルケアは、痛みや苦しみを軽減する治療をし、住み慣れたお家のいつもの場所で、ご家族と一緒に、最後の時がくるまで、今までと同じように穏やかに過ごすことを目指します。
つまりターミナルケアは、飼い主さんがご自身でペットの介護や看護をすることになりますので、飼い主さんの負担がとても大きくなります。トイレに間に合わなくなったり、介助や介護が必要になったり、認知症によって徘徊したり鳴き続けたり、病状が悪化すれば長時間付き添って見守らなくてはいけないこともあります。
皮下点滴や投薬など、痛みや苦しみを緩和する医療行為についても、獣医師の指示のもと、ご自宅でご自身で行わなければなりません。
つきっきりでお世話することの身体的な負担だけではなく、弱っていくペットの姿を見守ることの精神的な負担もとても大きいものです。思い詰めてしまわれる方もいます。

ターミナルケアの最大の目的は、飼い主さんとペットが、最後まで幸せなときを一緒に過ごすことです。飼い主さんに辛い思いをさせることをペットは望んでいません。重要なことは、飼い主さんが一人で頑張らないことです。
一人で抱え込んで頑張るのではなく、しっかりと休んだり息抜きをし、不安なことは相談したりして心の負担も軽減させましょう。そのためには、ご家族、信頼できる友人、かかりつけの獣医師、往診可能な獣医師、介護の経験と知識があるペットシッターなど、力を借りられる人を見つけておきましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのターミナルケア(緩和ケア)

痛みや辛さをできるだけ取り除いてあげましょう

「緩和ケア」とは、がんなどの病気にかかったときの身体的、精神的な辛さを和らげるためのケアのことをいい、病気の積極的な治療とも並行して行われます。
「ターミナルケア(終末期医療)」は「緩和ケア」の中に含まれるもので、特に末期がんの患者さんなど、治すことのできない病気の患者さんが、病気を完治させることではなく、「身体的な痛みや辛さを和らげたり、精神的な不安を取り除いたりすること」を目的に、毎日の生活を少しでも穏やかに過ごせるように行われるケアのことです。
ペット医療では、「緩和ケア」や「ターミナルケア」という言葉を意識的に区別しては使っていませんが、どちらも、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることが目的です。

人のターミナルケアではQOLを重視して、病気による痛みや辛さをできるだけ取り除くことに加えて、残された時間をできるだけ充実したその人らしい生活を送れるようにすることを目的とします。
ペットのターミナルケアも同様に、最後まで穏やかに、その子らしい充実した生活を送れるようにサポートしていきます。どのようなサポートができるかは、ペットの病気の状態によっても違いますので、獣医師や動物病院のスタッフとよく相談しながら進めましょう。

ターミナルケアという選択をするときは、治すことが難しい病気にかかったとき、治療を続けてきたがこれ以上治療をしても治る見込みがないとき、高齢で積極的な病気の治療に耐えられないと判断されたとき、など様々です。ターミナルケアを行うからといって、積極的な治療を行うことができなくなる訳ではありませんし、ターミナルケアを選択することがペットの命を見捨てることになる訳ではありません。
愛するペットができるだけ苦しまないように、最後まで穏やかに暮らせるように、サポートしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのQOLとは?

ペットと最後まで穏やかな生活を送るために

QOL(クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life))は「生活の質」とも訳されますが、高齢化がすすんだ人間社会ではよく耳にする言葉です。病気や高齢になったからといって快適な生活をあきらめるのではなく、住み慣れた家に住み続けたり、ふつうに食べたり、趣味を続けたりして、心地良い生活を送ろうという考え方です。
ペットにとってのQOLとは、痛みやストレスを感じない暮らし、十分量のおいしいご飯、安心して眠れる環境、飼い主さんと一緒に過ごす時間、などになります。

「かわいいペットといつまでも一緒にいたい」という気持ちは、ペットをかわいがっている人の共通の願いです。でも、動物は人間の数倍のスピードで歳をとり、だんだん病気がちになり、いつかは先に逝ってしまいます。

ペットが歳を重ね、腎臓病やガンなど、命にかかわる重大な病気が見つかったときの選択肢として、投薬や手術、放射線治療など、少しでも長く生きられるように「治療」を行う方法や、病気を治すことよりも痛みを取り除くことに重きを置いた「緩和ケア」を行う方法などがあります。治療を進める中でも、できるだけペット自身の負担が少なく、痛みやストレスを感じずに済む治療方法を選んであげること、それがQOLを上げることになります。
ペットのケアにかけられる時間やお金などはそれぞれで異なるでしょうから、飼い主さんは獣医師とよく相談をして、納得できる治療方針を選びましょう。ペットの治療方針を決められるのは、最終的に飼い主さんだけなのです。

「苦しまないで逝かせてあげたい」これも飼い主さん共通の願いでしょう。そして、かわいいペットを最後まできちんと見送ってあげることは、飼い主さんの大事な使命です。

選択肢の中には、「安楽死」もあります。当然とても重い決断です。しかし、痛みや苦痛が強く、今後も回復する見込みがないという場合は、穏やかに最期を迎えさせてあげるという選択肢も「あり」と考えます。
安楽死を選んだ場合、穏やかに、眠るように逝くため、痛みや辛さを取り除くことができます。また、家族が見守る中で見送ることもできます。
ただし、安楽死は、家族の中に一人でも迷いを持っている人がいるときは、まだ決断すべきではありません。十分納得してからでないと、ずっと後まで後悔を抱えることになりかねません。
ペットの病状や今後の見通し、ケアを行う飼い主さんの時間やお金の問題、気持ちの問題などについてよく考えましょう。家族でよく話し合い、獣医師や信頼できる人に相談してみましょう。大切なペットのために何を選択すべきか、本当に難しい問題です。

※ 申し訳ありません。ペットサポートぐる~の往診診療では、安楽死の対応は実施しておりません。

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