ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア2

最後まで快適に過ごせるようにしてあげましょう

食べたがるものをあげましょう
老化や病気の悪化によって食欲がなくなってしまったり、歯周病や口内炎などの痛みでドライフードを食べたがらなくなってしまったときには、ペットが食べたがるものを与えてみましょう。食事を楽しめるように、少し電子レンジで温めて香りを立たせたり、ぬるま湯でふやかしてあげると食べてくれることがあります。ウェットフードの方が好きなら、そちらをあげてみましょう。水分もとれますのでおすすめです。
必要に応じて、飼い主さんが手やスプーンなどで食べさせたり、体勢が安定しない場合は、体を支えてあげたりすると、たくさん食べてくれることがあります。
また、歳をとると前傾姿勢が負担になりますので、食器の位置を少し高めにしてあげると食べやすくなります。
※ 強制給餌は、回復の見込みがある場合に行うことが多い処置法です。ターミナルケアにおける強制給餌には賛否両論ありますが、ペットが自力で食べられない場合に、栄養失調や脱水症状にならないよう、餌を団子状にして口の中に入れたり、スポイトで餌を口の中に流し込んだり、飼い主さんが強制的に餌を食べさせるというものです。無理に入れても消化吸収できないこともありますし、誤嚥することもありますので、獣医師に相談してみましょう。

トイレへの移動を工夫しましょう
動物は、足腰が弱っても自力でトイレに行きたがる傾向があります。寝床からトイレまでの障害物をなくし、通路に滑り止めを敷いたり、トイレの入口にスロープを付けて段差をなくしたりしましょう。間に合わないこともありますので、可能性のある場所全面にペットシーツも敷いておくのもありです。自分でトイレまで行くことが難しい場合には、定期的にトイレまで連れて行ってあげましょう。

身体を拭いてあげましょう
自分で自分の体を舐めてきれいにするセルフグルーミングする猫も、高齢になったり病気で身体が辛くなったりすると、セルフグルーミングをしなくなってしまうことがあります。
ペットができるだけ清潔に快適に過ごせるように、優しくブラッシングをしたり身体を拭いてあげましょう。ペットの身体を拭いてあげながら優しく話しかけたり、身体をマッサージしながらなでてあげるなどのスキンシップも、大切なターミナルケアの一つです。飼い主さんの優しい声や触ってくれる感触で、ペットも安心します。

寝たきりになってしまったら
寝たきりになってしまったら、寝床にはクッション性のある素材のものを使い、厚みのあるクッションもうまく利用して、床ずれにならないよう数時間おきに体位を変換してあげましょう。オムツも上手に利用しましょう。人間用の尿取りパッドも役に立ちます。体をなでたりマッサージなどのスキンシップを行うと、痛みの軽減に効果があることがあります。

酸素吸入も効果が期待できます
老化で呼吸機能が衰え身体が酸欠状態になると、全身にさまざまな症状が現れます。酸素吸入をすれば、体内の酸素濃度が高まり、酸欠を緩和して体を楽にする効果が期待できます。酸素吸入は、酸素室にペットを入れて吸引させる方法が一般的です。機材は専門業者からレンタルでき、自宅にも設置できますので、ペットにはストレスや負担の少ない方法です。

獣医療によるペットの緩和ケア
ターミナルケアで行われる医療行為は、病気の原因そのものを治療して完治させたり、延命を行うことを目的とするのではなく、今ペットを苦しめている症状をできる限り緩和させ、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることを目的とします。
最も重視されるのは痛みや辛さ、精神的な不安を取り除くことであり、状態に合わせて、ペットに負担をかけずに症状を緩和させるための治療法を選択していきます。治療には様々な方法があり、介護するご家族の負担も考慮しながら、それぞれのペットに応じた治療を行います。
ご自宅では鎮痛剤を中心とした薬剤投与や皮下点滴による補液が行われることが多いですが、それぞれの治療については獣医師とよく相談しながら、獣医師の指示により行いましょう。
◆薬剤投与
必要な薬剤は獣医師により処方されます。獣医師の指示に従って投与しましょう。
特に痛みは、ペットのQOL(生活の質)を著しく低下させるものですので、痛みに対する適切な治療を行うことはターミナルケアでとても重要なことです。
◆皮下点滴(皮下補液)
皮下点滴は、脱水症や貧血、慢性腎不全などの状態を改善するために行います。皮下点滴は背中の肩甲骨近くの皮下に点滴液を入れます。点滴液を吊るして投与する場合と、皮下注射で補液する場合があります。獣医師が行う静脈点滴より吸収速度は劣りますが、短時間で終わり、ペットの身体への負担が少なく、比較的安全で、自宅で飼い主さんが自分で行うことができます。ご自宅で行う場合は獣医師の指示に従いましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:自宅でのターミナルケア1

大きな負担を一人で抱え込まないで

持続的な静脈点滴が必要だったり、容体が不安定な場合は、病院に入院して対応することもありますが、ペットのターミナルケアは、住み慣れたご自宅で、飼い主さんご自身がケアを行うことが一般的です。入院や通院でたくさんの治療を施すこと自体、ペットには大きなストレスになることもありますし、なにより日々のお世話が重要です。
しかし、ご自宅でターミナルケアを行うということは、飼い主さんにとっては大変重い選択になります。

ペットのターミナルケアは、痛みや苦しみを軽減する治療をし、住み慣れたお家のいつもの場所で、ご家族と一緒に、最後の時がくるまで、今までと同じように穏やかに過ごすことを目指します。
つまりターミナルケアは、飼い主さんがご自身でペットの介護や看護をすることになりますので、飼い主さんの負担がとても大きくなります。トイレに間に合わなくなったり、介助や介護が必要になったり、認知症によって徘徊したり鳴き続けたり、病状が悪化すれば長時間付き添って見守らなくてはいけないこともあります。
皮下点滴や投薬など、痛みや苦しみを緩和する医療行為についても、獣医師の指示のもと、ご自宅でご自身で行わなければなりません。
つきっきりでお世話することの身体的な負担だけではなく、弱っていくペットの姿を見守ることの精神的な負担もとても大きいものです。思い詰めてしまわれる方もいます。

ターミナルケアの最大の目的は、飼い主さんとペットが、最後まで幸せなときを一緒に過ごすことです。飼い主さんに辛い思いをさせることをペットは望んでいません。重要なことは、飼い主さんが一人で頑張らないことです。
一人で抱え込んで頑張るのではなく、しっかりと休んだり息抜きをし、不安なことは相談したりして心の負担も軽減させましょう。そのためには、ご家族、信頼できる友人、かかりつけの獣医師、往診可能な獣医師、介護の経験と知識があるペットシッターなど、力を借りられる人を見つけておきましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのターミナルケア(緩和ケア)

痛みや辛さをできるだけ取り除いてあげましょう

「緩和ケア」とは、がんなどの病気にかかったときの身体的、精神的な辛さを和らげるためのケアのことをいい、病気の積極的な治療とも並行して行われます。
「ターミナルケア(終末期医療)」は「緩和ケア」の中に含まれるもので、特に末期がんの患者さんなど、治すことのできない病気の患者さんが、病気を完治させることではなく、「身体的な痛みや辛さを和らげたり、精神的な不安を取り除いたりすること」を目的に、毎日の生活を少しでも穏やかに過ごせるように行われるケアのことです。
ペット医療では、「緩和ケア」や「ターミナルケア」という言葉を意識的に区別しては使っていませんが、どちらも、できるだけ穏やかに日常生活が送れるようにサポートすることが目的です。

人のターミナルケアではQOLを重視して、病気による痛みや辛さをできるだけ取り除くことに加えて、残された時間をできるだけ充実したその人らしい生活を送れるようにすることを目的とします。
ペットのターミナルケアも同様に、最後まで穏やかに、その子らしい充実した生活を送れるようにサポートしていきます。どのようなサポートができるかは、ペットの病気の状態によっても違いますので、獣医師や動物病院のスタッフとよく相談しながら進めましょう。

ターミナルケアという選択をするときは、治すことが難しい病気にかかったとき、治療を続けてきたがこれ以上治療をしても治る見込みがないとき、高齢で積極的な病気の治療に耐えられないと判断されたとき、など様々です。ターミナルケアを行うからといって、積極的な治療を行うことができなくなる訳ではありませんし、ターミナルケアを選択することがペットの命を見捨てることになる訳ではありません。
愛するペットができるだけ苦しまないように、最後まで穏やかに暮らせるように、サポートしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのQOLとは?

ペットと最後まで穏やかな生活を送るために

QOL(クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life))は「生活の質」とも訳されますが、高齢化がすすんだ人間社会ではよく耳にする言葉です。病気や高齢になったからといって快適な生活をあきらめるのではなく、住み慣れた家に住み続けたり、ふつうに食べたり、趣味を続けたりして、心地良い生活を送ろうという考え方です。
ペットにとってのQOLとは、痛みやストレスを感じない暮らし、十分量のおいしいご飯、安心して眠れる環境、飼い主さんと一緒に過ごす時間、などになります。

「かわいいペットといつまでも一緒にいたい」という気持ちは、ペットをかわいがっている人の共通の願いです。でも、動物は人間の数倍のスピードで歳をとり、だんだん病気がちになり、いつかは先に逝ってしまいます。

ペットが歳を重ね、腎臓病やガンなど、命にかかわる重大な病気が見つかったときの選択肢として、投薬や手術、放射線治療など、少しでも長く生きられるように「治療」を行う方法や、病気を治すことよりも痛みを取り除くことに重きを置いた「緩和ケア」を行う方法などがあります。治療を進める中でも、できるだけペット自身の負担が少なく、痛みやストレスを感じずに済む治療方法を選んであげること、それがQOLを上げることになります。
ペットのケアにかけられる時間やお金などはそれぞれで異なるでしょうから、飼い主さんは獣医師とよく相談をして、納得できる治療方針を選びましょう。ペットの治療方針を決められるのは、最終的に飼い主さんだけなのです。

「苦しまないで逝かせてあげたい」これも飼い主さん共通の願いでしょう。そして、かわいいペットを最後まできちんと見送ってあげることは、飼い主さんの大事な使命です。

選択肢の中には、「安楽死」もあります。当然とても重い決断です。しかし、痛みや苦痛が強く、今後も回復する見込みがないという場合は、穏やかに最期を迎えさせてあげるという選択肢も「あり」と考えます。
安楽死を選んだ場合、穏やかに、眠るように逝くため、痛みや辛さを取り除くことができます。また、家族が見守る中で見送ることもできます。
ただし、安楽死は、家族の中に一人でも迷いを持っている人がいるときは、まだ決断すべきではありません。十分納得してからでないと、ずっと後まで後悔を抱えることになりかねません。
ペットの病状や今後の見通し、ケアを行う飼い主さんの時間やお金の問題、気持ちの問題などについてよく考えましょう。家族でよく話し合い、獣医師や信頼できる人に相談してみましょう。大切なペットのために何を選択すべきか、本当に難しい問題です。

※ 申し訳ありません。ペットサポートぐる~の往診診療では、安楽死の対応は実施しておりません。

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ペット衛生管理の豆知識:鳥の梅雨対策

梅雨の苦手な鳥たちにも湿度対策をしてあげましょう!

梅雨は湿度の高い季節。今回は鳥たちの梅雨対策です。
ジメジメした梅雨はインコなどの鳥たちにとっても不快な季節です。いつもより注意してお世話してあげましょう。

ペットとして人気の高いセキセイインコやオカメインコは、降水量が少ないオーストラリア原産です。オーストラリア内陸部は砂漠が近いこともあり、30℃になる夏でも湿度が低くカラッとした気候です。日本のジメジメした梅雨とは大違い。さらに鳥には体温調整のための汗腺がありません。鳥は、羽のない脚が空気に触れたり、口を開けて気道の水分を蒸発させることによって、体温を下げています。鳥が暑いと感じている時は、口を半開きにし、翼を体から浮かせ、体の熱を放散させるような仕草を見せます。そのような様子を見たら、鳥かごの場所を変えたり、できればクーラーや除湿機を使用して、室温や湿度をコントロールするようにしましょう。鳥にとって快適な湿度は50~60%といわれています。エアコンは冷房をかけるよりも除湿で25~30℃の設定がおすすめです。

窓を2カ所以上開けると、空気の通り道ができて風通しがよくなり、湿度を下げることができます。特にこの時期は、室外より室内の方が湿度が高いことがありますので、雨の日でも換気はしてあげましょう。ただ放鳥するときは、必ず窓が閉まっているか確認してください。

窓を開けただけでは改善しない場合は、やはりエアコンや除湿器に頼ることになります。扇風機やサーキュレーターを使用して、室内の空気を循環させるとさらに効果的です。このときエアコンなどの風が鳥たちに直接当たらないように、鳥かごの設置位置にも気を配りましょう。また、放鳥時には、鳥たちが扇風機などにぶつかり、事故や怪我をしないように注意してあげましょう。

鳥たちは寒さに弱いため、逆に空調が強すぎると、体調に悪影響を及ぼします。お家にあるエアコンの特性を理解しつつ、できれば温度計・湿度計を鳥かごのそばに設置して、こまめにエアコン調整を行いましょう。空調が効きすぎて寒すぎると、鳥たちは片足を体に入れて片足立ちしたり、体全体の羽毛を膨らませたりします。鳥たちの様子をよく観察しましょう。

また梅雨の時期は、細菌が増殖したりカビや害虫が発生しやすくなりますので、エサや飲み水の傷みを防ぐこと、エサの保管、ケージの除菌・消毒、などにも注意しましょう。

小さな体の鳥たちには、ちょっとしたストレスが命にかかわってしまいます。注意深く見守り、鳥たちが快適に暮らせるようにしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:梅雨時のペットの臭い対策

梅雨時に強くなるペット臭を抑えましょう!

高温多湿の梅雨の時期、部屋の中がいつもよりペット臭い…なんてことはありませんか。室内でペットを飼っていると、どうしてもこの時期、ペット臭がより強くなってしまいます。それは、温度と湿度が高くなったせい。いろいろな所で細菌やカビが増殖するから。しかもそれは、ペットの体と部屋の中の両方で起こっています。臭いを解消するには、部屋とペットの両方の対策が必要です。それぞれに湿気対策をして、細菌やカビの増殖を抑え、臭いの発生を防ぎましょう。

部屋の対策 :最も直接的な対策は、換気扇や扇風機を回したり、エアコンや除湿器を使ったりして空気の流れを作り、湿度と温度を抑えることです。犬の場合、快適な室温は26℃程度、湿度は50~60%と言われています。
部屋の中にトイレがあるペットの場合は、尿や便をしたら速やかに取り除くようにしましょう。こまめなトイレ掃除は臭いを予防する有効な対策です。
部屋を衛生的に保つことも重要です。細菌やカビの温床になるカーペットや床には定期的に掃除機をかけ、ホコリやペットの毛は除菌クリーナーや粘着テープなどでこまめに取り除きましょう。その上で、消臭剤を使いましょう。
そしてこれは一般的なことですが、部屋の中に物がたくさん置いてある部屋は、空気が通りにくく湿気がこもりがちになりますので、部屋を片付けることも大切です。もともとカビが発生しやすいキッチンやお風呂場も、この時期は特にしっかり換気しましょう。天気の良い日には、天日干しできるものは日光に当て、乾燥・殺菌させるとよいですね。
また、観葉植物や水槽があったり、室内に洗濯物を干すと湿気が高くなりますので、ペットのいる部屋にはたくさん置かないように注意してあげましょう。

ペットの対策 :ペットのボディケアをこまめに行うことが対策になります。
できれば毎日ブラッシングをして抜け落ちた毛を取り除き、毛の間の通気性をよくしてあげましょう。ブラッシングは肌を刺激するので血行も改善され、皮膚炎や湿疹などのトラブルも予防できます。
体を拭くのも効果的です。顔や足、腹や尻など部分的でもいいので、濡らしたタオルで拭いてみてあげてください。特に犬は、独特の臭いの分泌物を出すアポクリン腺が全身にあり、これが臭いの原因となります。犬にとっては自己主張のための大切な臭いですが、体を拭くことで抑えることができます。
この他、ペットの歯肉炎や歯周病など、お口のトラブルも臭いの原因になります。ワンちゃんなら、毎日ブラッシング(歯磨き)をして物理的に歯垢を取り除いて口臭を予防しましょう。
犬種にもよりますが、肛門腺絞りも忘れずに行いましょう。肛門腺からは強い臭いがする分泌液が出ているので、お尻の毛や寝床などにこの分泌液がつくと強烈な臭いがします。肛門腺絞りや耳掃除・爪切りなどを、月1回まとめてプロにお願いするのもお勧めです。
最後になりましたが、臭い対策でやはり有効なのは、シャンプーして体を洗ってあげることです。ただし、頻繁に洗いすぎると皮膚が痛み、逆に皮膚炎の原因になりますので、体を洗うのは月1~2回にしましょう。また洗った後は、十分に乾かしてあげることも大切です。

以上ペットの臭い対策についていろいろ書きました。できることから実施して、不快な梅雨を乗り切りましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:梅雨に多い病気

梅雨時には耳や皮膚の病気が多くなります

とうとう梅雨が近づいてきました。梅雨は湿度が高く、病気の原因になる細菌やカビ、寄生虫などが増殖しやすい季節です。不快指数が上がってストレスもたまり、梅雨は私たち同様ペットにとっても病気にかかりやすい季節といえます。この時期は前回説明した食中毒の他、耳の病気、皮膚の病気が起きやすくなります。

耳の病気 :湿度が高くなると耳の中で細菌や真菌、ダニなどが増殖し、耳の病気にかかるペットが増えます。犬では特に耳が垂れている犬種や、外耳道に毛が多く生えている犬種で、外耳炎になることが多くなります。後ろ足で耳(首のあたり)を掻いているときは要注意です。耳が赤く腫れたり、痒がったり、耳アカがたまったり、異臭を発することもあります。出血すると治療に時間がかかるので、早めに見つけて動物病院へ連れて行きましょう。
耳の中をよく拭いてあげることが予防のためのお手入れとなります。イヤークリーナーなどを使ってみるのもおすすめです。

皮膚の病気 :梅雨の時期は、皮膚の病気にかかるペットも多くなります。ペットは被毛で覆われているためそこに湿気がこもり、皮膚で菌が増殖しやすくなるためです。
また、高温多湿のこの時期は、ノミやダニ、蚊などの害虫の活動が活発になる時期でもあります。これらに刺されて掻くと皮膚炎を起こしたり、様々な病気を媒介します。
犬で毎月ノミ・ダニの駆虫薬をあげていない場合は、外出時にペットが舐めても大丈夫な虫よけスプレーを使うなど、ノミやマダニがつきにくいようにしてあげましょう。駆虫薬をあげている場合でも、虫よけスプレーなどで蚊に刺されないようにしてあげましょう。

人間同様、ペットもストレスなどにより免疫力が下がっていると炎症が起こりやすくなります。梅雨時は部屋を清潔に保ち、室温や湿度を管理してあげることが大切です。
特に犬の場合、雨で散歩に行けないことも増えますので、ストレスを溜めないように室内でたくさん遊んであげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの食中毒

ペットの食中毒を予防しましょう!

暑くなってきました。気温の上がるこの時期は食べ物が傷みやすく、人間もペットも 食中毒への注意が必要です。

市販のペットフードだけを食べさせていれば基本安心ですが、食べ残したフードは捨てること、食器や水入れをしっかりと洗うこと、フードの保管状況が重要です。ドライフードでも開封して湿気の多い場所に長期間置いておくとカビが生えることもありますので、湿度の少ない涼しい場所に保管しましょう。フードは小袋に分別されていて すぐ使い切れるタイプの方がより安全です。また、蓋を開けた缶のウェットフードは、別の保存容器に移して必ず冷蔵庫に入れ、できるだけ早く使い切るようにしましょう。

夏場に特に注意が必要なのは、手作り食をあげている場合です。使う調理器具の衛生にも気を付け、食品にはしっかり火を通すようにしましょう。肉や魚を生で食べさせたいと思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、暑い時期は肉や魚にも火を通しましょう。生食を避けることが、ペットの食中毒予防になります。

ペットが飲む水も、給水器に毎日継ぎ足ししていると、容器についた汚れが起因して夏場は腐ることがあります。給水器はこまめに洗浄し、毎日新鮮な水に交換してあげましょう。

細菌・ウイルス・寄生虫などに汚染されているものを口にしてしまった場合の他、毒キノコ・ジャガイモの芽など、人間に毒になるものでも食中毒は起こります。さらに、人間には食べられるものでも、ペットにとっては食中毒を引き起こしてしまう食べ物もあります。
例えば、犬にとって食べてはいけない食べ物は、玉ねぎやチョコレートなどです。玉ねぎは貧血症状を引き起こし、チョコレートも食べた量によっては死に至ることもありますので、もしこれらの食べ物を食べてしまい、下痢や嘔吐の症状が出てしまったら、すぐ動物病院に相談しましょう。

食中毒の治療は原因によっても異なりますが、下痢や嘔吐がある場合は、脱水症状の改善や電解質バランスを整えるための治療が必要です。脱水症状の改善のためには点滴や皮下注射による補液を、症状により整腸剤や抗生物質などを使用します。

梅雨時は食中毒以外でも下痢がおきやすい季節です。気温の上昇で夏バテを起こしつつあるペットに大量の水を飲ませると、胃液が薄くなり下痢を起こすこともあります。下痢便の様子が、水のようにゆるい、臭いが強い、血液が混じっているといった場合や、嘔吐もあるなど、気になる症状がある場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:暑いときの犬のお散歩

暑いときの犬のお散歩の注意点

犬のストレス解消や気分転換、そして肥満防止のためにも、散歩はできるだけ毎日してあげたいですよね。散歩時の必要な運動量は、犬種や体型によって大きく異なります。犬の様子をよく確認しながら、負荷がかかりすぎないように散歩の距離や時間を調整しましょう。

小型犬は体が小さいため、1日に1~2回、朝夕の時間帯の散歩が目安です。特にチワワのような超小型犬では、華奢な体に骨もあまり強くないため、長距離のお散歩の必要はありません。
ボーダーコリーや柴犬などの中型犬は、散歩は朝夕1日2回、1回につき30分位(距離に換算すると2km程度)、ブラドールレトリバーなどの大型犬も、基本的には朝夕1日2回、1回につき30~60分位(距離にすると2~4km程度)が目安です。
散歩コースも、平坦な道と坂道や階段などでは運動量が大きく変わります。散歩コースにも気を配ってあげてください。

散歩しているとき、ワンちゃんが急に座り込んだり動かなくなったりすることがありますね。そんなときは、無理にリードを強く引かず、注意深く様子を観察しましょう。動かないのには何か理由があります。もう疲れた、まだ帰りたくないなどならいいですが、足が痛い、調子が悪いなど、体の異常には早めに気づいてあげましょう。

熱中症に注意が必要なことは前回記載しましたが、季節によって、散歩の時間帯を変更するのもおすすめです。暑いときの散歩は、本当は早朝がベスト、さらに、夕方より地表温度と気温が下がった夜の方が、熱中症を予防するにはより安心です。でもちょうどよい時間に散歩ができるとは限りませんので、お散歩するときには十分な対策をとりましょう。

まずは水分補給です。携帯用の水飲み水筒を持参して、こまめに水を飲ませてあげましょう。

保冷剤をハンカチなどに包んで散歩に持って行き、途中休憩などのとき、犬の左右の後肢の付け根あたりに、少しずつ当てて体を冷やすことも有効です。人間でも濡らしたバンダナを首に巻いて体温を下げようとしますが、犬も同じです。首や後肢の内側には太い血管が通っていますので、効果的に体を冷やすことができます。

また夏は、蚊やアブなどの吸血昆虫に刺されないように、犬用虫除けスプレーなどを散歩前にひと吹きしてあげましょう。毎月ノミ・ダニの駆虫薬をあげているから大丈夫、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、毎月の駆虫薬では蚊に刺されることは防げません。犬の腹部は被毛が薄いため蚊に刺されやすく、掻くと皮膚炎になってしまうこともありますので、犬が舐めても安心な犬用虫除けスプレーなどの使用を検討しましょう。

そして、あまりにも暑い日や湿度が高い日などは、散歩をお休みしても大丈夫です。熱を蓄えたアスファルトで肉球がやけどをするリスクもありますし、熱中症になる危険性も大きくなります。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットの熱中症

夏前にもペットの熱中症に注意!

熱中症になるのは夏、と思っている方も多いと思います。でも人間同様ペットでも、春先から熱中症のような症状になる子がいます。今の季節は本格的な夏ほど高温が続くことはありませんが、朝晩と日中の温度差が大きく、1日1日の寒暖の変動幅が非常に大きいことがあり、それがペットの体に負担になります。

心臓などの循環器や気管や肺などの呼吸器系の病気を患っているペットでは、特に注意が必要です。暖かくなりがちな室内にいることが多いペットは、温度変化に適応しづらい体質になっており、呼吸器や循環器に大きな負担がかかります。

また、気をつけていただきたいのが、お留守番のときの環境です。朝出かけるときは適温でも、閉めきった部屋に日が当たると、一気に室温が上がってしまいます。今はまだ体も暑さに慣れていませんので、過ごしやすい時期だと思って油断せず、お留守番のときには窓を開けたり、エアコンをつけたりして、温度管理に気を配ることが大切です。

熱中症になると、ペットは呼吸が早くなったり、荒い呼吸をするようになったり、ひどくなるとぐったりとしてきます。
熱中症を疑う場合は応急的にすぐ体を冷やすことが重要ですが、夏前の時期の熱中症は、持病なども影響し、必ずしも体温が上がっているとは限りません。より適切な処置をするためにも、かかりつけの動物病院に相談して指示を仰ぎましょう。

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