ペット衛生管理の豆知識:換毛期の皮膚トラブル

換毛期の皮膚トラブルに注意!

犬や猫は春と秋に換毛期を迎えます。換毛とは毛が生え替わることで、春は3月~7月頃、秋は9~11月頃の年2回、1カ月ほどかけて、春は冬毛が抜け落ちて密度の少ない夏毛に、秋は夏毛が抜けてフワフワした保温性の高い冬毛に生え替わります。動物はこのサイクルを繰り返し、季節ごとの気温や湿度に対応した体温調節をしています。

換毛期には毛がたくさん抜けますので、犬の場合お手入れを怠ると、毛玉ができて皮膚が蒸れ、湿疹ができたりします。また、毛穴から毛と一緒に出てくるたくさんのフケも、たまりすぎると油脂成分が酸化して皮膚炎の原因になります。これらの皮膚炎は部分的なことがほとんどですので、主に塗り薬で治療することになります。
皮膚炎にならないようにするには、毎日のブラッシングが重要です。しっかりブラッシングをすることで、抜け落ちる毛が取り除け、皮膚の血行促進にもなりますのでスムーズな換毛を促すことができます。

ただ最近では、室内で飼育されるペットが増えたことにより、春と秋の一般的な換毛期に被毛が生え替わらない子も多いようです。また、気温差をあまり感じない環境にいる子は、毛の生え替わるスピードがゆっくりになることもあるようです。
適切な体温調節や、健康な皮膚や被毛を維持するためにも、季節に合わせた換毛をすることはとても大切です。そのために、室内で飼っているペットも、できるだけ外気を感じられる時間をとって、季節を体感できるようにしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:犬猫のフィラリア予防2

蚊を見たらフィラリア予防を忘れずに!

フィラリアは、蚊に刺されて感染する寄生虫病です。ですので、蚊が発生する時期になったらフィラリア予防を始めます。温暖な地域ではもっと早い時期、あるいは通年での予防が必要な場合もあります。

なお、フィラリア症の予防薬を投与する前には、フィラリアが寄生していないことを確認する検査が必要です。
フィラリア予防薬は、実はフィラリアの幼虫の駆除(殺虫)薬です。フィラリア成虫により産み出されるフィラリア幼虫が 体内にいることを知らずに犬に薬を飲ませた場合、一度に大量のフィラリア幼虫が駆除されることで血管が詰まってショック症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。そのため、フィラリアが寄生している状態の犬に予防薬を与えることは 大変危険なんです。
フィラリア寄生の有無は、犬を採血し、その血液を検査キットにかけることで、簡単に調べられます。検査の結果、フィラリアがすでに寄生していることが判明した場合は、状況に応じて、獣医師が対応を決めます。

フィラリア症はきちんと投薬すれば簡単に確実に予防できる病気です。
フィラリア予防薬には、錠剤タイプ、チュアブル(おやつ)タイプ、スポットタイプなどがあります。いずれも毎月1回、1カ月間隔で投薬します。蚊が活動する時期(毎年5月~11月)には、フィラリア予防薬を毎月忘れずに与えましょう。
フィラリア予防には注射もあります。このフィラリア注射は、年1回注射するだけで効果が1年間持続します。でも、1回の注射で1年分の薬剤を体内に入れますので、飲み薬に比べて副作用のリスクが高くなります。また、フィラリアしか予防できません。
これに対し、オールインワンと呼ばれる毎月1回与えるタイプの予防薬は、注射より価格が安く、フィラリアの他、ノミやマダニ、他の内部寄生虫まで 同時に駆除できます。毎月投与するのは面倒ですが、犬の安全性やオールマイティさを考えれば、月1回の予防薬を選ぶメリットもあります。

猫のフィラリアも命にもかかわることなので、獣医師に相談して予防薬を与えましょう。なお、猫には注射はありません。

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ペット衛生管理の豆知識:犬猫のフィラリア予防1

フィラリア症は寄生虫病です

フィラリア(犬糸状虫)は、犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫の名前で、感染した犬の血を吸った蚊が 他の犬の血を吸うことで 犬の間で感染していきます。蚊の吸血により 感染幼虫が犬の体内に入ると、フィラリアは発育を続けながら犬の体内を移動して 心臓や肺動脈にたどり着き、心臓で成虫になって子どもを産み、体内でどんどん数を増やします。
フィラリアの成虫は30cm にもなるそうめんのような糸状の寄生虫ですので、フィラリアが心臓や肺に増えると、血液の循環が悪くなり、呼吸器や循環器、泌尿器に障害を起こします。

フィラリア症の症状は、はじめあまり目立ちません。元気・食欲がない、体重の減少、ゼーゼーと咳をする、苦しそうに呼吸をするといった症状が出て、初めて異常に気付く飼い主さんが多いようです。
症状が進行してくると、お腹周りが大きくなる、コーヒーのような赤みを帯びた尿をするようになったりします。これは、循環器が障害されるためにお腹や肺に水が溜まったり、血液中の赤血球が壊れてしまうために血色素の色が尿にでてしまうためです。
そして最終的には、心不全を患って死に至ることもある、犬にとっては重大な病気です。

犬だけでなく、猫もかかります。猫では主に肺に障害を起こします。猫の場合、寄生するフィラリアの数が少ないため診断が難しく、咳や呼吸困難、嘔吐などの症状が出てきたときには 命が危ない状態といえます。突然死亡することもあります。

犬の場合も猫の場合も、最善の対策は事前の予防です。次回は予防のお話です。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのノミ対策

定期的にノミ駆除をして 住環境もきれいにしておきましょう!

ノミは哺乳類や鳥類に寄生する昆虫で、ペットの被毛の中に潜み、血を吸って生きています。吸血するときにペットに激しいかゆみを引き起こしますので、ペットの大きな精神的ストレスになります。大量寄生の場合は、吸血による貧血、ノミアレルギー性皮膚炎などを引き起こし、他のペットにうつす恐れもあります。さらには、瓜実条虫(サナダムシ)や猫ひっかき病の原因になるバルトネラ菌を媒介したりと、人間にも被害を及ぼします。このような被害を避けるためも、ペットには定期的にノミ駆除薬を投与しましょう。そして同時に、住環境への対策も実施しましょう。

なぜノミ対策として、住環境への対策が必要なのでしょうか。

ノミの成長は、温度と湿度によって影響されます。本来、気温が3℃以下になればノミの卵や幼虫は死んでしまいます。しかし、気温が13℃以上あればノミは繁殖が可能なため、暖かい家の中では、ノミは冬でも繁殖と寄生を繰り返すことができてしまいます。そのため、実際、真冬でもノミによる犬猫の被害がでています。

ノミは、 卵→幼虫→さなぎ→成虫 と成長しますが、実は 動物に寄生しているノミの成虫は全体の5%にすぎません。ノミの卵、幼虫、さなぎなどの未成熟なノミは、家の中ではカーペットの下やソファ、部屋の隅などの環境中に生息しています。ノミの幼虫は湿気が高く暗い場所を好み、食べこぼしやノミの成虫の糞などの有機物をエサにしています。
ですから、念入りに部屋に掃除機をかけたり、ペットの寝床やソファなどを清潔に保つようにして、環境中のノミの絶対数を減らすことがとても重要となります。

ペットを室内で飼っている場合にも、人が靴や服につけて外から運んできてしまったり、たまたまペットが外に出たすきにノミが付いてしまったりすることもありますので、ノミ対策をしておくことをお勧めします。

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ペット衛生管理の豆知識:ペットのマダニ対策

人獣共通感染症を媒介するマダニ対策は必ず実施しましょう!

春は暖かく過ごしやすい季節ですが、気温が上がってくるとノミやダニが活発に活動し始めます。ノミやダニは、ペットのみならず、野生動物や人間にも吸血し、恐ろしい病気を媒介します。ですので、ノミ・ダニ対策は必ず実施しましょう。

まずはマダニ対策です。

マダニはあらゆる環境に生息でき、ペットや人を吸血します。マダニは散歩しているペットをいつも狙っています。森や林だけでなく身近な公園や河原などもマダニの生息地帯です。草むらや茂みの多い場所では特に注意が必要です。

気温が上昇する春先には、ペットへのマダニの寄生が多く見られるようになります。特にまぶたや耳の先など、皮膚の中でも柔らかい場所に寄生して、ペットの血液を吸ってどんどん大きくなります。マダニが寄生すると、吸血により強いかゆみがでたり、貧血や皮膚病を引き起こします。
加えて、近年特に問題視されているのは、マダニが媒介する様々な病気です。マダニから人に感染する重篤な病気には、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、日本紅斑熱などがあり、人獣共通感染症の点からも、ペットのマダニ予防は非常に重要です。

マダニ予防は、月に1回、首に垂らすタイプの滴下薬タイプと飲み薬タイプとがありますが、効果はほとんど同じですので、獣医さんと相談して、ペットに使いやすいタイプを使いましょう。ホームセンターやペットショップなどで販売されている商品もありますが、効果が不安定なことがありますので、動物病院で処方された予防薬を使うようにしましょう。

もしまだ薬を使っていない場合、散歩から帰ったら、ペットにしっかりと食いついているマダニを見つけることがあるかもしれません。でも、決して食いついているマダニを強引にむしり取ってはいけません。マダニは様々な感染症を媒介しますので、できるだけ早く除去することが重要ですが、除去に失敗してマダニのちぎれた口器が皮膚の中に残ってしまい、化膿してしまったりすることもあります。もし自分で除去できない場合には、動物病院に行って除去してもらいましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ワクチンの副作用

副作用が心配なら 午前中にワクチン接種をしましょう

病気にかからないようにする、あるいはかかっても重症にならないようにするためには、その病気のワクチンを接種することが有効です。でもご存じのとおり、ワクチンには副作用があります。副作用が心配だから、ワクチン接種をしたくないという方もいらっしゃいますよね。

ワクチン接種により副作用の起こる確率は、その病気になって死んでしまう確率よりずっと低いものです。狂犬病にかかればほぼ100%死亡、犬ジステンパーでは発病率25-75%、感染した動物の死亡率は 50-90%と とても高いことが知られています。一方で、ワクチン接種による副作用発生率は、症状が軽いのものも含め0.5%程度と言われています。

ワクチンの副作用のひとつであるワクチンアレルギーとは、ワクチンを打ったことにより起こる体の異常な免疫反応です。重篤な症状は打ってから1時間以内に出ることが多いですが、顔が腫れたり、全身をかゆがったり、何度も吐いたりなどは、数時間後に出ることもあります。

これらのほとんどは、アレルギーを抑える注射を獣医さんに打ってもらうことで対応できますので、副作用が心配な方には、午前中のワクチン接種をお勧めします(夕方に注射すると、動物病院がやっていない場合がありますので)。

副作用がでるかどうかのはっきりした予測はできませんが、レプトスピラが入っているワクチンは副作用が出やすいと言われています。また、ミニチュアダックスフンドでの発症が多いと言われていますので、特に注意しましょう。

ですので、ワクチン接種は体調のいい日に、接種後は安静にさせ、よく観察して様子を見守りましょう。

また、アレルギーが出たことがある子や持病のある子は、ワクチン接種をやめたり、犬であれば狂犬病のワクチン接種の猶予証明書を出してもらうこともできますので、動物病院に相談しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ワクチン接種時の注意点

ワクチン接種はペットの体調がいいときに

狂犬病の予防接種(ワクチン接種)は法律で定められており、必ず行なわなくてはならないものですが、ワクチン接種ってどういうことでしょうか。

ワクチンとは、病気の原因になる病原体を、悪さをできないように殺したり弱毒化したもので、それを体に入れる(接種する)ことにより、病原体を異物として体に認識させ、異物である病原体に反応する「抗体」を作らせることを目的としています。「抗体」を作ることができれば、その病原体が次に体に入ったとき、病原体と戦って感染させない、あるいは感染はしても症状を軽く抑えることが期待できます。つまり、ワクチンは、病原体に感染する前に接種する必要があります。感染してから打っても手遅れなんです。特に、病原体がウイルスの病気に感染してしまった場合は、抗生物質が効きませんので、あらかじめ打っておくワクチンが唯一の防御手段となります。ワクチンは非常にありがたい存在です。

ワクチン接種時の注意点ですが、上述のとおり、ワクチン接種は体に異物(病原体)を入れることです。接種されるペットの体にも当然負担がかかりますので、ペットの様子を見て、体調の良いときに接種をしましょう。

また、ワクチン接種により副作用が出る場合もあります。副作用は、接種から1時間以内で出る場合や、半日以上後に出る場合もありますので、接種後は、いつも以上に注意してペットの様子を見守りましょう。長時間の移動、シャンプーやトリミングなど、ストレスのかかることは避けましょう。お散歩もあまり興奮させないように短時間にするとよいかもしれません。そうして、いつもと様子が違う場合には、動物病院に相談しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:狂犬病は人にも感染

狂犬病が絶対発生しないという保証はありません

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した犬やその他の動物に咬かまれることで、人にも感染します。人が発症すると、ほぼ助かりません。アジア、南米、アフリカなどの流行地域を中心に、世界では毎年50,000人以上の人が死亡しています。日本では、1956年に人、1957年に動物での症例を最後に、狂犬病の国内発生は報告されていません。でも実は日本でも、国外で咬まれ帰国後発症して死亡した人が4例報告されていますので、海外へ旅行する際には注意が必要です。

「狂犬病は日本ではずっと発生していないから、予防接種はもう必要ない」という方もいますが、今まで発生がなかったのに、いきなり発生してしまった国もあります。いつの間にかウイルスが国内に入り、広がってしまうなんてことは絶対避けたいものです。

日本では、毎年4月(早い地域だと3月)になると、保健所から狂犬病予防接種のお知らせが届きます。生後90日を過ぎた犬は、狂犬病予防法という法律に基づき、毎年1回(4~6月に接種)は狂犬病予防接種を受ける義務がありますので、保健所の案内に従い、必ず接種するようにしましょう。

狂犬病の症状などはこちら

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ペット衛生管理の豆知識:春は病気の予防シーズン

行動が活発になる春に病気の予防をしましょう!

春です。春は暖かく心地よい季節ですので、ペットにとっても外へ連れて行ってもらう機会が増えたりと、何かと活動的になる季節です。だからこそ春は、狂犬病予防接種や定期的なワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防など、病気の予防シーズンでもあります。

ペットが伝染病、フィラリア、ノミ・ダニなどの病気になることは、ペットにも辛い思いをさせ、飼い主にとっても経済的に大きな負担となります。予防を中心に対策すれば、病気になるリスクを下げられます。

ペットがずっと健康に過ごしていけるように、定期的な予防接種や予防薬の投与をしましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:春の寒暖差に注意!

春の寒暖差はペットにもストレスです

暖かくなってきました。特に3月は、1日の中でも気温の変動が激しく、寒暖の差が大きい季節です。人間でもこの時期は着る物選びに苦労しますよね。人間ならば自分の意志で寒ければ上着を羽織り、暑ければ上着を脱いだりできますが、ペットたちは自分ではどうにもできません。日中は暖かい日でも朝晩は冷え込んだり、日光が直接当たる場所はかなり温度が上がります。1日の気温差が大きいこの時期は、ペットたちに体調不良を招きやすい季節でもあります。特に幼齢や高齢のペットには注意してあげましょう。

暖房器具やエアコンをつけない時間も増えますので、寒ければ暖かい場所に、暑ければ涼しい場所に、自分で移動できるようにしてあげるといいですね。ペットの暑さサインや寒さサインを見逃さないようにしましょう。特に留守番中には気を付けてあげましょう。

春には寒暖差の他にも体調不良になる原因がたくさんあります。日照時間がだんだん長くなりますので体内時計が狂いやすく、体調不良になりやすくなります。避妊手術をしていない場合は、発情期を迎えるメスが多く、神経質になったり食欲が落ちることもあります。

ペットをよく観察して、早めに体調の変化に気づいてあげましょう。
そうして、かわいいペットと一緒に、ステキな春を、快適に楽しく過ごしましょう。

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