ペット衛生管理の豆知識:ペットのマダニ対策

人獣共通感染症を媒介するマダニ対策は必ず実施しましょう!

春は暖かく過ごしやすい季節ですが、気温が上がってくるとノミやダニが活発に活動し始めます。ノミやダニは、ペットのみならず、野生動物や人間にも吸血し、恐ろしい病気を媒介します。ですので、ノミ・ダニ対策は必ず実施しましょう。

まずはマダニ対策です。

マダニはあらゆる環境に生息でき、ペットや人を吸血します。マダニは散歩しているペットをいつも狙っています。森や林だけでなく身近な公園や河原などもマダニの生息地帯です。草むらや茂みの多い場所では特に注意が必要です。

気温が上昇する春先には、ペットへのマダニの寄生が多く見られるようになります。特にまぶたや耳の先など、皮膚の中でも柔らかい場所に寄生して、ペットの血液を吸ってどんどん大きくなります。マダニが寄生すると、吸血により強いかゆみがでたり、貧血や皮膚病を引き起こします。
加えて、近年特に問題視されているのは、マダニが媒介する様々な病気です。マダニから人に感染する重篤な病気には、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、日本紅斑熱などがあり、人獣共通感染症の点からも、ペットのマダニ予防は非常に重要です。

マダニ予防は、月に1回、首に垂らすタイプの滴下薬タイプと飲み薬タイプとがありますが、効果はほとんど同じですので、獣医さんと相談して、ペットに使いやすいタイプを使いましょう。ホームセンターやペットショップなどで販売されている商品もありますが、効果が不安定なことがありますので、動物病院で処方された予防薬を使うようにしましょう。

もしまだ薬を使っていない場合、散歩から帰ったら、ペットにしっかりと食いついているマダニを見つけることがあるかもしれません。でも、決して食いついているマダニを強引にむしり取ってはいけません。マダニは様々な感染症を媒介しますので、できるだけ早く除去することが重要ですが、除去に失敗してマダニのちぎれた口器が皮膚の中に残ってしまい、化膿してしまったりすることもあります。もし自分で除去できない場合には、動物病院に行って除去してもらいましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ワクチンの副作用

副作用が心配なら 午前中にワクチン接種をしましょう

病気にかからないようにする、あるいはかかっても重症にならないようにするためには、その病気のワクチンを接種することが有効です。でもご存じのとおり、ワクチンには副作用があります。副作用が心配だから、ワクチン接種をしたくないという方もいらっしゃいますよね。

ワクチン接種により副作用の起こる確率は、その病気になって死んでしまう確率よりずっと低いものです。狂犬病にかかればほぼ100%死亡、犬ジステンパーでは発病率25-75%、感染した動物の死亡率は 50-90%と とても高いことが知られています。一方で、ワクチン接種による副作用発生率は、症状が軽いのものも含め0.5%程度と言われています。

ワクチンの副作用のひとつであるワクチンアレルギーとは、ワクチンを打ったことにより起こる体の異常な免疫反応です。重篤な症状は打ってから1時間以内に出ることが多いですが、顔が腫れたり、全身をかゆがったり、何度も吐いたりなどは、数時間後に出ることもあります。

これらのほとんどは、アレルギーを抑える注射を獣医さんに打ってもらうことで対応できますので、副作用が心配な方には、午前中のワクチン接種をお勧めします(夕方に注射すると、動物病院がやっていない場合がありますので)。

副作用がでるかどうかのはっきりした予測はできませんが、レプトスピラが入っているワクチンは副作用が出やすいと言われています。また、ミニチュアダックスフンドでの発症が多いと言われていますので、特に注意しましょう。

ですので、ワクチン接種は体調のいい日に、接種後は安静にさせ、よく観察して様子を見守りましょう。

また、アレルギーが出たことがある子や持病のある子は、ワクチン接種をやめたり、犬であれば狂犬病のワクチン接種の猶予証明書を出してもらうこともできますので、動物病院に相談しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:ワクチン接種時の注意点

ワクチン接種はペットの体調がいいときに

狂犬病の予防接種(ワクチン接種)は法律で定められており、必ず行なわなくてはならないものですが、ワクチン接種ってどういうことでしょうか。

ワクチンとは、病気の原因になる病原体を、悪さをできないように殺したり弱毒化したもので、それを体に入れる(接種する)ことにより、病原体を異物として体に認識させ、異物である病原体に反応する「抗体」を作らせることを目的としています。「抗体」を作ることができれば、その病原体が次に体に入ったとき、病原体と戦って感染させない、あるいは感染はしても症状を軽く抑えることが期待できます。つまり、ワクチンは、病原体に感染する前に接種する必要があります。感染してから打っても手遅れなんです。特に、病原体がウイルスの病気に感染してしまった場合は、抗生物質が効きませんので、あらかじめ打っておくワクチンが唯一の防御手段となります。ワクチンは非常にありがたい存在です。

ワクチン接種時の注意点ですが、上述のとおり、ワクチン接種は体に異物(病原体)を入れることです。接種されるペットの体にも当然負担がかかりますので、ペットの様子を見て、体調の良いときに接種をしましょう。

また、ワクチン接種により副作用が出る場合もあります。副作用は、接種から1時間以内で出る場合や、半日以上後に出る場合もありますので、接種後は、いつも以上に注意してペットの様子を見守りましょう。長時間の移動、シャンプーやトリミングなど、ストレスのかかることは避けましょう。お散歩もあまり興奮させないように短時間にするとよいかもしれません。そうして、いつもと様子が違う場合には、動物病院に相談しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:狂犬病は人にも感染

狂犬病が絶対発生しないという保証はありません

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した犬やその他の動物に咬かまれることで、人にも感染します。人が発症すると、ほぼ助かりません。アジア、南米、アフリカなどの流行地域を中心に、世界では毎年50,000人以上の人が死亡しています。日本では、1956年に人、1957年に動物での症例を最後に、狂犬病の国内発生は報告されていません。でも実は日本でも、国外で咬まれ帰国後発症して死亡した人が4例報告されていますので、海外へ旅行する際には注意が必要です。

「狂犬病は日本ではずっと発生していないから、予防接種はもう必要ない」という方もいますが、今まで発生がなかったのに、いきなり発生してしまった国もあります。いつの間にかウイルスが国内に入り、広がってしまうなんてことは絶対避けたいものです。

日本では、毎年4月(早い地域だと3月)になると、保健所から狂犬病予防接種のお知らせが届きます。生後90日を過ぎた犬は、狂犬病予防法という法律に基づき、毎年1回(4~6月に接種)は狂犬病予防接種を受ける義務がありますので、保健所の案内に従い、必ず接種するようにしましょう。

狂犬病の症状などはこちら

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ペット衛生管理の豆知識:犬の問題行動としつけ

犬に問題行動を起こさせないために

犬の問題行動とは、人間の社会に受け入れられないような犬の行動です。犬は長い年月をかけて目的をもって改良されてきましたので、様々な性格や形態の犬がつくられています。攻撃性をもつようにつくられた犬もいますし、飼い方によっては人間の優位に立ち、吠える、噛むといった犬本来の性質が強く現れてしまう犬もいます。これらの犬には、よほどしっかりしつけをしない限り、本来の性質を矯正することは難しいといえます。見た目が「かわいい」「気に入った」というだけで犬を選ぶのは誤りで、その犬種の性質をしっかり理解した上で、飼い主さん自身の性質と、生活環境を考えて、犬種を選ぶことが重要です。

また、犬や猫は幼齢期に早期に親・兄弟から引き離すと十分な社会化が行われず、成長後に噛みぐせや吠えぐせなどの問題行動を引き起こす可能性が高くなるといわれています。しかし以前の日本では、生まれた子犬を母犬から早くに引き離して販売するということが行われていました。犬猫の問題行動は飼い主の飼育放棄につながり、飼育放棄の増加は殺処分数の増加にもつながります。そのため、令和3年度動物愛護法の改正により、生後57日齢未満の犬猫の販売が禁止されました。
本来、子犬は母犬や兄弟犬と生後2~3ヵ月までは一緒に過ごすのが理想です。親・兄弟との接触、飼い主の家族の他、多くの人や犬に会わせたり、いろいろな場所に行ったり、他の動物に会わせたり、音に慣れさせるなど、子犬のうちに多くのことを体験させることが重要だからです。いろいろな体験を通して、子犬は社交的な犬になっていきます。

犬のしつけとは、人と一緒に暮らすために犬に守らせたいルールを覚えさせることです。室内の小型犬のしつけの目標は、飼い主を噛まないことと、吠えて近所に迷惑をかけないことです。大型犬では、散歩の途中で他人や他の犬に吠えたり攻撃したりしないようにすることも必要です。

人が犬のリーダーになる主従関係は、犬にとってかわいそうなことではありません。飼い主が犬の頼れるリーダーになれば、犬は安心して暮らすことができます。

「ハウス」「オスワリ」「フセ」「マテ」「オイデ」などの指示語のトレーニングは、飼い主が犬をコントロールするために重要です。訓練を通じてリーダーである飼い主との信頼関係も深まります。

重要なのは、ダメなことはダメとあきらめさせること。吠えればなんでもきいてもらえると思わせないために、吠えても無視することです。目もみず、声もかけず、犬があきらめるまで待ちましょう。

叱るのではなく、できたときに誉めましょう。最初は「おやつのごほうび」と「なでてほめる」をセットでしてあげましょう。ほめられるのがうれしくなると、なでられたりほめられたりすること自体がごほうびとなります。

しつけの仕方にもいろいろありますが、自分の犬と生活環境に合わせて、ムリをせず、あきらめず、時間をかけて続けましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:新型コロナ感染時の備え

新型コロナウイルスに感染してしまったときの備えをしておきましょう!

新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は、人と人との飛沫感染と接触感染であると考えられています。感染した人からペットにも感染することが報告されていますが、感染したペットのほとんどは無症状か、軽い症状を示すだけで、ペットが感染源となってウィルスを伝播している事例はまだ報告されていません。ペットに感染させないことはもちろん大事ですが、飼い主様が感染してしまうと、大切なペットのお世話ができなくなってしまうかもしれません。現在流行しているデルタ株の感染力は強力です。万が一、飼い主様が感染してしまったときのことも考えて、ペットのお世話についても準備をしておきましょう。

〇 自宅療養に備えてフードや日用品等の備蓄をしておきましょう。
新型コロナに感染すると、入院中はもちろん自宅療養中も外出できなくなります。ペットフード等の食べ物、ペットシーツや猫砂などの日用品は、十分な量、備蓄しておきましょう。
このとき、フードなどの賞味期限のあるものの備蓄はローリングストックがおすすめです。毎日あげるフード等は通常時から少し多めに買っておき、賞味期限を考えて古いものから与え、使った分を買い足すことで、いつも一定量の食料を備蓄することができます。ローリングストックをしておけば災害時にも安心です。
この他、食料品以外の日用品の備蓄量もチェックしておきましょう。

※ 備蓄が足りなくなったときは、近くの親類や友人、業者などに買い出しをお願いしたり、通信販売を利用することになると思います。注文、商品の受取、料金支払いなどの際には、配送者と直接接触しないように配慮しましょう(商品は玄関前や宅配ボックス等のあらかじめ決めた置き場所に配達してもらう、料金の支払いはできるだけキャッシュレス決済にする等)。

〇 入院などでご自宅にいられなくなる事態にも備えておきましょう。
ペットの世話ができなくなる事態に備えて、ペットを預けるための準備をしておくことが大切です。
ご家族や友人などに、いざという時に預かってもらえるか確認しておきましょう。
お願いできる方がいない場合は、ペットホテルやペットシッターについて事前に調べておきましょう。
また、ペットを預かってもらうときに備えて、ペットの情報を書き出しておきましょう(ペットの名前、年齢、性別、性格、健康状態、かかりつけの動物病院、飼育上の注意事項など)。
さらに、飼育に必要な物は、すぐまとめられるように準備しておきましょう(フード・常備薬・首輪・リード・遊び道具・トイレ用品など)。
ペットホテルなど他の動物がいるところに預ける場合は、他のペットからの感染症も心配ですので、犬や猫などは混合ワクチンもきちんと接種しておきましょう。

※ ペットを預ける際には、相手の方への感染防止対策を徹底しましょう。感染された方は外出できません。飼い主がペットをケージ等に入れて玄関先に置き、飼い主が家に入られてから受取り側が受け取るなど、直接の接触を避けるように配慮しましょう。

感染してから準備を始めても間に合いません。かわいいペットと過度な接触は避けましょうといってもなかなか難しいと思いますが、ペットを触ったときは手を洗ったり消毒したり、ペットの体を常に清潔に保つなど、一般的な衛生管理が動物由来感染症対策にもつながります。

今は静岡県も緊急事態宣言下。ペットたちにとっても飼い主様は大切な家族。かわいいペットのためにも不要不急の外出は我慢して、お家でペットとの楽しい時間を過ごしましょう。

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