ペット衛生管理の豆知識:狂犬病は人にも感染

狂犬病が絶対発生しないという保証はありません

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した犬やその他の動物に咬かまれることで、人にも感染します。人が発症すると、ほぼ助かりません。アジア、南米、アフリカなどの流行地域を中心に、世界では毎年50,000人以上の人が死亡しています。日本では、1956年に人、1957年に動物での症例を最後に、狂犬病の国内発生は報告されていません。でも実は日本でも、国外で咬まれ帰国後発症して死亡した人が4例報告されていますので、海外へ旅行する際には注意が必要です。

「狂犬病は日本ではずっと発生していないから、予防接種はもう必要ない」という方もいますが、今まで発生がなかったのに、いきなり発生してしまった国もあります。いつの間にかウイルスが国内に入り、広がってしまうなんてことは絶対避けたいものです。

日本では、毎年4月(早い地域だと3月)になると、保健所から狂犬病予防接種のお知らせが届きます。生後90日を過ぎた犬は、狂犬病予防法という法律に基づき、毎年1回(4~6月に接種)は狂犬病予防接種を受ける義務がありますので、保健所の案内に従い、必ず接種するようにしましょう。

狂犬病の症状などはこちら

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ペット衛生管理の豆知識:春は病気の予防シーズン

行動が活発になる春に病気の予防をしましょう!

春です。春は暖かく心地よい季節ですので、ペットにとっても外へ連れて行ってもらう機会が増えたりと、何かと活動的になる季節です。だからこそ春は、狂犬病予防接種や定期的なワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防など、病気の予防シーズンでもあります。

ペットが伝染病、フィラリア、ノミ・ダニなどの病気になることは、ペットにも辛い思いをさせ、飼い主にとっても経済的に大きな負担となります。予防を中心に対策すれば、病気になるリスクを下げられます。

ペットがずっと健康に過ごしていけるように、定期的な予防接種や予防薬の投与をしましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:春の寒暖差に注意!

春の寒暖差はペットにもストレスです

暖かくなってきました。特に3月は、1日の中でも気温の変動が激しく、寒暖の差が大きい季節です。人間でもこの時期は着る物選びに苦労しますよね。人間ならば自分の意志で寒ければ上着を羽織り、暑ければ上着を脱いだりできますが、ペットたちは自分ではどうにもできません。日中は暖かい日でも朝晩は冷え込んだり、日光が直接当たる場所はかなり温度が上がります。1日の気温差が大きいこの時期は、ペットたちに体調不良を招きやすい季節でもあります。特に幼齢や高齢のペットには注意してあげましょう。

暖房器具やエアコンをつけない時間も増えますので、寒ければ暖かい場所に、暑ければ涼しい場所に、自分で移動できるようにしてあげるといいですね。ペットの暑さサインや寒さサインを見逃さないようにしましょう。特に留守番中には気を付けてあげましょう。

春には寒暖差の他にも体調不良になる原因がたくさんあります。日照時間がだんだん長くなりますので体内時計が狂いやすく、体調不良になりやすくなります。避妊手術をしていない場合は、発情期を迎えるメスが多く、神経質になったり食欲が落ちることもあります。

ペットをよく観察して、早めに体調の変化に気づいてあげましょう。
そうして、かわいいペットと一緒に、ステキな春を、快適に楽しく過ごしましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:災害時の備え

災害時を見据えて普段から備えましょう!

今年元旦、最大震度7の大きな揺れを観測する能登半島地震が起きました。多くの建物が倒壊し、津波もきて、被害は甚大なものとなりました。犠牲になられた多くの方々のご冥福をお祈りします。東日本大震災からは13年。静岡に住む私たちにとっても、南海トラフ巨大地震がいつ起きてもおかしくない状況だとか。日本は地震大国です。

大きな地震が起きると言われ続けている静岡ですが、本当に災害時の備えは大切です。災害は、ある日突然襲ってきます。人だけでなく、多くのペットたちも犠牲となってしまいます。命は助かっても、被災した飼い主の生活上の理由から、ペットと別れなければならない場合もでてきます。そんな悲しいことにならないように、できることから備えていきたいですね。

避難所での生活のためには、ペットをキャリーバックやケージに慣らしておくこと、人や他の動物にむやみに吠えたりしないようにすること、決められた場所で排泄ができること、などが必要となってきます。そのことは、実はペット自身のストレス軽減にもつながります。

また、避難所や動物救護施設では、ストレスでペットの免疫力が低下することが想定されることから、普段から予防接種やノミなどの外部寄生虫の駆除などを行っておくことも重要です。

ペットフード等の食べ物、ペットシーツや猫砂などの日用品も、通常時から、十分な量、備蓄しておきましょう。

地震のほか、地球温暖化による異常気象による大災害も、いつどこでおきてもおかしくない状況です。かわいい子を守るためにはどうすればいいのか、日頃から考えておきましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:春のアレルギー

犬猫の花粉症とその対策

春に花粉症になるのは人間だけではありません。動物も花粉症になります。ペットの花粉症は人間とは症状が違うため、飼い主が気づかないことが多いようです。花粉症だと気づくのは、くしゃみをしたり、鼻水がでたり、人と同じ症状を出したときです。花粉症を心配しすぎる必要はありませんが、飼い主としてペットの症状や対策方法を知っておきましょう。

花粉が原因となる症状は、かゆみ、発疹、脱毛などの皮膚炎、くしゃみや鼻水といった鼻炎症状や結膜炎です。犬では皮膚炎(かゆみ、発疹、脱毛)を発症することが多く、猫の場合は、人と似た症状(くしゃみ、鼻水)が出ることが多いようです。ペットたちをよく観察して、花粉症を疑うようであれば、動物病院で検査してもらいましょう。原因が分かれば、治療と対策ができます。

花粉の時期はスギで2~4月、ヒノキは3~5月、イネ科の植物は5~10月、ブタクサは秋で8~11月です。犬猫ともにスギ花粉によるものが最も多く、次いでヒノキ、イネ科植物となります。該当する時期に、かゆみや発疹が出たり、くしゃみや鼻水が出たりする場合は、花粉症かもしれません。外に出る機会が少ない室内猫などでも、飼い主さんが持ち帰ってくる花粉などから症状が出ることがあります。

花粉症対策の考え方は人間と同じです。空気清浄器や掃除機をこまめに使って、室内の花粉の量を減らしましょう。外から帰ったときには、ブラッシングや水で濡らしたタオルなどで体を拭いて花粉を落としてあげましょう。外から来た人間が花粉を持ち込まないよう、人も同じように対策しましょう。この他、犬には、飛散が多い日の散歩は控えたり、散歩に出るときには花粉がつきにくい素材の洋服を着せるなどで対策しましょう。猫の場合は、やはり外に出さないことが一番です。
まだ花粉症の症状がない場合でも、対策をしておけば、これから花粉症になるのを防ぐこともできます。

花粉症であることがわかったときの治療は、症状を抑えるための対症療法が中心です。皮膚のかゆみなどを抑える場合は、免疫の過剰反応を抑えるステロイド剤や抗ヒスタミン剤が処方されます。飲み薬や症状により塗り薬も使われます。また、掻かないように、エリザベスカラーや洋服を着用させたりする場合もあります。

アレルギー対策で最も重要なことは、人間の花粉症対策と同じで、アレルゲンを避けることです。花粉の時期は、なるべく花粉と接することがないようにしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:猫と犬の発情期

発情期の注意点と避妊・去勢手術

<猫の発情期>
メス猫の初めての発情(性成熟)は生後6~10ヵ月位、その後は年に2~3回の発情期があります。発情期のピークは、日照時間が長くなる春先です。発情期の猫は、普段とは違う大きな声でずっと鳴き続けます。叱っても、閉じ込めても、鳴くのを止めさせることはできません。水をかけたり、マタタビを与えて気をそらしても、一時的に鳴き止むだけです。体をなでたりすると、逆にそれが刺激となって、さらに発情することもあります。発情が始まってしまったら見守るしかありません。ちなみに猫には生理はありません。

オス猫は生後8ヵ月頃に性成熟を迎えます。オス猫の発情は、発情中のメスに接触することで起こります。室内飼育の場合も、外からメス猫の鳴き声が聞こえたり気配を感じることで、刺激され発情することがあります。落ち着きがなく攻撃的になったり、あちこちにくさいオシッコを飛ばすスプレー行動をとるようになります。オス猫の発情は、メス猫のように鳴かないので気づきにくいですが、発情したメス猫を近づけないように気を付けましょう。

また発情期には、交尾相手を求めて、室内飼育の猫も脱走しやすくなります。脱走することで、交通事故にあったり、よその猫とケンカしたり、接触や交尾によって感染症をもらってきてしまうこともあります。もちろんメス猫は高い確率で妊娠します。発情期にはいつも以上に脱走には注意しましょう。

さらに発情中は、いつもより性格が荒くなりますので、飼い主さんが咬まれて怪我をするようなこともありますので、気を付けましょう。

<犬の発情期>
メス犬は、小型犬で生後7~10ヵ月位、大型犬で生後8~12ヵ月位に最初の発情(性成熟)を迎えます。メス犬の発情期は、生理(陰部からの出血)で知ることができます。その後の発情期は5~10ヵ月位のサイクルで繰り返し、小型犬は年に2~3回、大型犬は年に1~2回の発情期があります。季節では半年ごと、春は3~5月、秋は9~11月に発情期が多いといわれています。サイクルもありますし、必ずしも春だけが発情の季節ではありませんが、発情期中は本能的に子孫を残そうと交尾相手を求めますので、散歩など外出時には気を付けましょう。

オス犬は生後8~10ヵ月位に性成熟を迎えます。春も秋も関係なく、1年中いつでも機会があれば交尾が可能です。メス犬のフェロモンを感知して発情すると、オス犬はマーキングやマウンティングをすることが増えます。発情中にメスから出るフェロモンはオス犬を呼び寄せますし、他のオス犬への攻撃性も高まっていますので、ドッグランなど、犬が集まる場所へ行くときには、オス同士のケンカに注意しましょう。

<避妊・去勢手術のすすめ>
発情は動物が本来持っている生理現象です。しかし、発情期は思わぬトラブルが起きやすい時期でもあります。繁殖を考えていない場合は、猫も犬も生後6ヵ月以降で最初の発情前までに、メスであれば避妊手術(卵巣・子宮全摘出)を、オスでは去勢手術(睾丸摘出)をしましょう。避妊・去勢手術をすれば、望まない妊娠を避けることができます。避妊・去勢手術を行っていれば、その後は発情せず、穏やかに過ごせるようになります。また、メスであれば子宮卵巣や乳腺の病気、オスであれば前立腺や睾丸などの病気も予防できます。

人もペットもストレスを感じず健康に過ごすために、早めの手術をおすすめします。
ただ、手術をすると、ホルモンバランスなどの関係でオス・メスともに太りやすくなりますので、ご飯の内容には気を配り、適度な運動をさせましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:猫用ワクチン2

猫用ワクチン接種に関わる注意点

「うちの猫は完全室内飼いで外に出さないからワクチンなんて打たなくても大丈夫」と思っている飼い主さんもいるかもしれません。室内で飼っている猫は、もちろん外にいる猫より感染リスクは低くなりますが、絶対安全とは言い切れません。飼い主さんや家族が、外から室内にウイルスを運んでしまう可能性があるからです。コアワクチンのウイルスは感染力が強く、空気感染しますし、外で野良猫に触った手で家の猫を触ったりすれば、ウイルスは室内に持ち込まれます。そのため、室内飼育の場合でも、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の「3種混合」の接種が推奨されています。

外に出る猫には、3種混合ワクチンに猫白血病ウイルス感染症を加えた「4種混合」、さらに猫クラミジア感染症を加えた「5種混合」など、母猫や兄弟猫の感染状況、他猫との接触の有無、住んでいる地域や飼育環境を考慮して、どれを予防するかを動物病院で相談しましょう。

多頭飼育の場合、猫白血病ウイルス陽性の猫がいるのであれば、同じ家で飼っているすべて猫に猫白血病ワクチンを接種する必要があります。

猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)のワクチンについては、混合ではなく単独で接種する形になります。猫エイズは、外に出て感染猫との交尾や、ケンカで咬まれたりすることがなければ感染しませんし、接種後の副作用の報告もあり、扱っていない動物病院もあります。陽性猫との接触を避けて、感染を予防することが現実的かもしれません。

猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)については、検査キットもありますので、ワクチン接種前に動物病院で感染の有無を検査してもらった上で、それぞれの猫に接種するワクチンを決めることもできます。

なお、外で生まれた子猫を拾ったとき、鼻水や結膜炎で顔がぐちゃぐちゃになっていることがあると思います。このような子猫は、すでに猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスに感染していることが多く、治ったように見えても、その後もウイルスのキャリア猫となります。ワクチンで発症を抑えることはできますが、加齢やストレスで免疫力が低下したとき、再度ウイルスが活性化してくることもありますので、シニア猫や、環境が変わるなどのストレスのかかる猫にこそ、是非ワクチン接種を定期的に続けましょう。

ペットショップやブリーダーから迎えた猫なのか、保護猫なのか、室内飼いか、外に出る猫か、1頭飼いか、多頭飼育か、などの情報を獣医師に伝え、ワクチネーションプログラムを組んでもらい、計画的に接種しましょう。

なかには、ワクチン接種後の副反応を心配している飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。でも副作用の起こる確率は、病気になって死んでしまう確率よりずっと低いんです。確かに、ワクチンを打つと、猫によっては体調が悪くなることもありますし、ごくまれには顔面が異常に腫れたりするなどの症状が出たり、アナフィラキシーショックを起こす場合がありますので、ワクチン接種後はしばらく様子を見守ってください。万が一を考えて、午前中にワクチン接種を受けておけば、何らかの副反応が出た場合、すぐ動物病院に相談できるので、安心です。また、ワクチン接種後は、激しい運動、シャンプーは避け、2~3日間は安静にしてください。

また、ほとんどのペット保険では、ワクチン接種にかかる費用は補償の対象外となっています。ワクチン接種は病気の治療ではなく、健康な状態で行う予防行為と解釈されているためです。一方で、多くのペット保険では、ワクチンを接種せずに、ワクチンで予防できる病気にかかった場合、その治療にかかる費用も補償の対象外となってしまいます(ワクチン接種をしたにも関わらず治療が必要になった場合は補償の対象となります。)感染して治療が必要になれば、その費用はワクチン接種の何倍もかかります。接種の費用や手間は、飼い主さんの負担となりますが、ワクチン代を惜しんで、最終的に高額な治療費が必要になってしまうようなことのないように、予防できる病気はしっかりと予防しておきましょう。

なお、ペットホテルなど、猫が集まる施設を利用する際などには、ワクチンの接種証明書が必要です。接種1年以内の証明書の提示を求められる場合が多いと思いますので、事前に利用施設へ確認しましょう。証明書はワクチン接種を受けた動物病院で発行してくれます。

ワクチンを接種しても感染症にかかることはありますが、ワクチン接種が感染症の発症予防、症状の軽減に大きな効果を発揮することは確かです。すべての病気がワクチンで予防できるわけではありませんが、ワクチンで予防できるものは、ワクチンを接種してしっかりと予防しましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:猫用ワクチン1

ワクチンで予防できる猫の感染症

猫用ワクチンも犬用と同様、すべての猫に接種すべき「コアワクチン」と、感染のリスクに応じて接種する「ノンコアワクチン」があります。
コアワクチンは、致死率が高く伝染性が高い病気を予防します。猫でコアワクチンの対象となる病気は、「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症)」の3つです。
ノンコアワクチンには、「猫クラミジア感染症」「猫白血病ウイルス感染症」などがあり、住んでいる地域や飼育環境など、感染のリスクに応じて接種します。

ワクチン接種によって予防できる猫の感染症は、以下の6種類です。

(1)猫ウイルス性鼻気管炎:猫ヘルペスウイルスによる感染症で、発熱、激しいくしゃみや咳、多量の鼻水や目やにを出すなど、風邪のような症状を起こします。混合感染すると重篤化して死亡することもあります。回復してもウイルスは体内に潜んでいます。

(2)猫カリシウイルス感染症:猫ウイルス性鼻気管炎と似た風邪のような症状を起こしますが、進行すると口腔や舌に水泡や潰瘍をつくります。猫ウイルス性鼻気管炎よりも軽い症状ですが、混合感染すると重篤化します。様々な種類のウイルス株があり、回復後もウイルスのキャリアになります。

(3)猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症):猫パルボウイルスによる感染力がとても強い伝染病です。高熱、激しい嘔吐や下痢などを起こします。血液中の白血球数が著しく少なくなり、脱水状態が続いて猫は衰弱します。特に子猫は重症化しやすく、非常に死亡率の高い伝染病です。

(4)猫クラミジア感染症:クラミジアという細菌によって引き起こされる感染症で、主に子猫が感染します。結膜炎、涙目、目やに、くしゃみなどの症状がみられ、猫同士の接触で感染します。持続感染することもあり、人獣共通感染症のひとつです。

(5)猫白血病ウイルス感染症:猫白血病ウイルスによる伝染病で、免疫機能の抑制、貧血、リンパ腫など、様々な症状を示します。感染猫の血液や唾液、尿や糞便中にウイルスがいるため、感染猫との接触で感染します。感染しても発症する猫は少ないですが、発症すると治療は困難でほぼ死亡します。

(6)猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ):人のHIVに似ていますが、猫同士でしか感染しません。感染力が弱いので空気感染することはありません。ウィルスは血液や唾液に含まれており、感染猫とのケンカで咬まれたりしてうつります。感染しても発症しない猫もいますが、発症すると免疫不全を起こし、下痢、口内炎、発熱などの症状が出て、進行するとほぼ死亡します。

ワクチンによる免疫は一生続くわけではありません。ワクチンの種類によっても異なりますが、複数回の接種が必要です。一般的には、生後2ヶ月の段階で第1回目を、その1ヶ月後に第2回目を行い、成猫になってからは年に1回の追加接種が推奨されています。ワクチンによっては子猫期に3回接種することもありますし、追加接種は3年に1回でよいとしているものもあります。

ワクチンは、感染症予防において最も重要かつ効率的な手段です。特にウイルス感染症には抗生物質が効きませんので、感染してしまったら症状に対する治療(対症療法)しかできません。ワクチンで予防できるものは定期的に予防接種を受けて、感染症に対する免疫をつけておきましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:犬用ワクチン2

ワクチンで予防できる犬の感染症

狂犬病以外の感染症予防接種は、「混合ワクチン」が一般的です。混合ワクチンは、複数の病気のワクチンが組み合わせてあり、一度に接種できます。
何種類混合のワクチンを接種すればよいかを決めるときには、様々な要因を考えます。室内犬か室外犬か、ドッグランやペットホテルなど多くの犬が集まる場所に行くことがあるか、野山に入ることがあるか、また飼っている地域ではどんな病気が流行しているかなどなど。獣医さんと相談して接種内容を決めましょう。

ワクチン接種によって予防できる犬の感染症は、以下のとおりです。

(1)犬パルボウイルス感染症:犬パルボウイルスに感染した犬の便や嘔吐物に接触して感染します。激しい下痢や嘔吐、発熱、脱水症状などが表れ、重症になると血便が出ることもあります。また下痢や脱水の悪化によりショック症状を起こして死に至ることもあり、特に子犬の致死率が高くなっています。妊娠中のメス犬が感染すると、流産や死産の原因になります。

(2)犬ジステンパー:犬ジステンバーウイルスの感染によっておこる急性で高熱のでる感染症で、伝染力が強く、死亡率の高い伝染病です。感染した犬の目やに、鼻水、唾液、排泄物との接触やくしゃみなどの飛沫物によって感染します。初期症状は目やに、鼻水、鼻炎、発熱、食欲の低下などで、重篤化すると麻痺や痙攣などの症状が出ます。致死率が高く、発症すると有効な治療法はありません。治ったとしても、神経症状などの後遺症が出ることがあります。

(3)犬伝染性肝炎:犬アデノウイルス1型の感染によっておこる感染症で、伝染力が強く、感染した犬の鼻水や唾液、排泄物に接触することで感染します。発熱や嘔吐、下痢、腹痛などの症状が表れ、急性の肝炎になります。鼻水が出る程度の軽症こともありますが、混合感染があると死亡率は極めて高くなります。回復しても半年以上ウイルスが腎臓にいて、尿中に排出されますので注意が必要です。

(4)犬伝染性咽頭気管炎:犬アデノウイルス2型による感染症で、「ケンネルコフ」という強い咳がでる犬の呼吸器病の主な原因のひとつです。咳やくしゃみなど風邪に似た症状が出ます。1型の犬伝染性肝炎よりも症状が軽く致死率も低いとされていますが、他のウイルスや細菌との複合感染により重篤化する場合もあります。

(5)犬パラインフルエンザウイルス感染症:「ケンネルコフ」の主な原因のひとつで、咳や発熱、鼻水などの重い風邪のような症状が出ます。単独での致死率はあまり高くありせんが、他の感染症との混合感染で症状が重くなります。

(6)犬コロナウイルス感染症:感染した犬の嘔吐物や糞便をなめたりすることによって感染します。幼犬には下痢と嘔吐を起こしますが、成犬の場合は感染してもほとんど症状が現れません。幼犬で症状が重くなると、血便がでることもあります。犬パルボウイルスなどと混合感染すると重篤になることがあります。

(7)犬レプトスピラ症:レプトスピラという細菌に感染した動物の尿で汚染された土や水を口にしたり、また触れたりすることで感染します。症状が出ない「不顕性」、高熱、腎炎、出血性胃腸炎、血便などになる「出血型」、高熱、黄疸、尿毒症などになる「黄疸型」があり、人間にも感染する人獣共通感染症です。また、レプトスピラには多くの血清型があります。

ワクチンによる免疫は一生続くわけではありません。ワクチンの種類によっても異なりますが、複数回の接種が必要です。一般的には、生後2ヶ月の段階で第1回目を、その1ヶ月後に第2回目を行い、成犬になってからは年に1回の追加接種することが多いです。ワクチンによっては子犬期に3回接種することもありますし、コアワクチンの追加接種は3年に1回でよいとしている場合もあります。

前回も書きましたが、ウイルス感染症には抗生物質は効きません。感染してしまったら特効薬はありません。取り返しのつかないことになってしまう前に、定期的に予防接種を受けましょう。

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ウイルスには抗生物質が効きません ワクチンで予防しましょう

ワクチンとは感染症の予防に用いる医薬品のことで、病原体あるいは細菌毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたものです。これらをあらかじめ接種しておくことにより病原体に対する抗体を産生させ、体内に免疫反応の記憶を残すことにより、いざ本当の病原体が体内に侵入してきたときに迅速に免疫応答が働き、病原体の感染や発病を防げるようになります。

犬用ワクチンは、すべての犬に接種した方がよい「コアワクチン」と、感染のリスクに応じて接種する「ノンコアワクチン」に分けられます。

「狂犬病ワクチン」は、犬用コアワクチンの中で唯一接種が義務化されているワクチンです。狂犬病予防のために、生後3カ月以降のすべての犬に対し、年1回の接種が義務付けられています。なぜ、狂犬病ワクチンだけが義務付けられているのかというと、それは狂犬病を発症した場合の致死率がほぼ100%というとても怖い病気だから。さらに狂犬病を発症した犬に噛まれると、犬だけではなく人間にも感染・発症するとても恐ろしい人獣共通伝染病だからです。

「犬ジステンパーウイルス」「犬パルボウイルス」「アデノウイルス1型(犬伝染性肝炎)」のワクチンも、コアワクチンです。これらは義務ではないものの、感染率と感染後の致死率が高いことから、すべての犬へワクチン接種することが推奨されています。

ノンコアワクチンは、生活環境(多頭飼いなど)や、病原体の汚染地域かどうかなどにより、高い感染リスクが想定される場合に接種するもので、「レプトスピラ」「パラインフルエンザウイルス」「コロナウイルス」などがこれに当たります。

上記の病原体はほとんどウイルスですが、レプトスピラだけは細菌です。
レプトスピラが入っている混合ワクチンは副作用が出やすいことが知られています。レプトスピラ感染症も人獣共通伝染病ですし、発生報告のある汚染地域では本来接種をすべきですが、ワクチンアレルギーを起こす体質の子や、特にミニチュア・ダックスフンドなどでは副作用が強く出る場合がありますので、接種には注意が必要です。獣医師と相談して、その子の体質、飼育環境、生活環境、感染リスクなどを考慮した上で、レプトスピラが入ってないワクチンを接種するか、レプトスピラが入っているワクチンを接種するか選びましょう。

ドッグランやペットホテルなどの犬の集まる施設では、3種以上の混合ワクチンの接種証明書の提示を求められることが多くなっています。ウイルスに対する抗体持続期間から、コアワクチンの接種は3年に1回でもいいとの報告もありますが、接種1年以内の証明書の提示を求められる場合が多いと思いますので、心配な場合は事前に施設へ確認しておきましょう。証明書はワクチン接種を受けた動物病院で発行してくれます。

ワクチンは、感染症予防において最も重要かつ効率的な手段です。特にウイルス性感染症には抗生物質が効きませんので、かかってからの治療より、ワクチンによる予防が非常に重要です。ワクチンをあらかじめ打っておけば、感染症の発症予防、症状の軽減が大いに期待できますので、ワクチンで予防できる病気はワクチンの接種を検討しましょう。

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