ペット衛生管理の豆知識:ペットの熱中症

夏前にもペットの熱中症に注意!

熱中症になるのは夏、と思っている方も多いと思います。でも人間同様ペットでも、春先から熱中症のような症状になる子がいます。今の季節は本格的な夏ほど高温が続くことはありませんが、朝晩と日中の温度差が大きく、1日1日の寒暖の変動幅が非常に大きいことがあり、それがペットの体に負担になります。

心臓などの循環器や気管や肺などの呼吸器系の病気を患っているペットでは、特に注意が必要です。暖かくなりがちな室内にいることが多いペットは、温度変化に適応しづらい体質になっており、呼吸器や循環器に大きな負担がかかります。

また、気をつけていただきたいのが、お留守番のときの環境です。朝出かけるときは適温でも、閉めきった部屋に日が当たると、一気に室温が上がってしまいます。今はまだ体も暑さに慣れていませんので、過ごしやすい時期だと思って油断せず、お留守番のときには窓を開けたり、エアコンをつけたりして、温度管理に気を配ることが大切です。

熱中症になると、ペットは呼吸が早くなったり、荒い呼吸をするようになったり、ひどくなるとぐったりとしてきます。
熱中症を疑う場合は応急的にすぐ体を冷やすことが重要ですが、夏前の時期の熱中症は、持病なども影響し、必ずしも体温が上がっているとは限りません。より適切な処置をするためにも、かかりつけの動物病院に相談して指示を仰ぎましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:換毛期の皮膚トラブル

換毛期の皮膚トラブルに注意!

犬や猫は春と秋に換毛期を迎えます。換毛とは毛が生え替わることで、春は3月~7月頃、秋は9~11月頃の年2回、1カ月ほどかけて、春は冬毛が抜け落ちて密度の少ない夏毛に、秋は夏毛が抜けてフワフワした保温性の高い冬毛に生え替わります。動物はこのサイクルを繰り返し、季節ごとの気温や湿度に対応した体温調節をしています。

換毛期には毛がたくさん抜けますので、犬の場合お手入れを怠ると、毛玉ができて皮膚が蒸れ、湿疹ができたりします。また、毛穴から毛と一緒に出てくるたくさんのフケも、たまりすぎると油脂成分が酸化して皮膚炎の原因になります。これらの皮膚炎は部分的なことがほとんどですので、主に塗り薬で治療することになります。
皮膚炎にならないようにするには、毎日のブラッシングが重要です。しっかりブラッシングをすることで、抜け落ちる毛が取り除け、皮膚の血行促進にもなりますのでスムーズな換毛を促すことができます。

ただ最近では、室内で飼育されるペットが増えたことにより、春と秋の一般的な換毛期に被毛が生え替わらない子も多いようです。また、気温差をあまり感じない環境にいる子は、毛の生え替わるスピードがゆっくりになることもあるようです。
適切な体温調節や、健康な皮膚や被毛を維持するためにも、季節に合わせた換毛をすることはとても大切です。そのために、室内で飼っているペットも、できるだけ外気を感じられる時間をとって、季節を体感できるようにしてあげましょう。

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ペット衛生管理の豆知識:犬猫のフィラリア予防2

蚊を見たらフィラリア予防を忘れずに!

フィラリアは、蚊に刺されて感染する寄生虫病です。ですので、蚊が発生する時期になったらフィラリア予防を始めます。温暖な地域ではもっと早い時期、あるいは通年での予防が必要な場合もあります。

なお、フィラリア症の予防薬を投与する前には、フィラリアが寄生していないことを確認する検査が必要です。
フィラリア予防薬は、実はフィラリアの幼虫の駆除(殺虫)薬です。フィラリア成虫により産み出されるフィラリア幼虫が 体内にいることを知らずに犬に薬を飲ませた場合、一度に大量のフィラリア幼虫が駆除されることで血管が詰まってショック症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。そのため、フィラリアが寄生している状態の犬に予防薬を与えることは 大変危険なんです。
フィラリア寄生の有無は、犬を採血し、その血液を検査キットにかけることで、簡単に調べられます。検査の結果、フィラリアがすでに寄生していることが判明した場合は、状況に応じて、獣医師が対応を決めます。

フィラリア症はきちんと投薬すれば簡単に確実に予防できる病気です。
フィラリア予防薬には、錠剤タイプ、チュアブル(おやつ)タイプ、スポットタイプなどがあります。いずれも毎月1回、1カ月間隔で投薬します。蚊が活動する時期(毎年5月~11月)には、フィラリア予防薬を毎月忘れずに与えましょう。
フィラリア予防には注射もあります。このフィラリア注射は、年1回注射するだけで効果が1年間持続します。でも、1回の注射で1年分の薬剤を体内に入れますので、飲み薬に比べて副作用のリスクが高くなります。また、フィラリアしか予防できません。
これに対し、オールインワンと呼ばれる毎月1回与えるタイプの予防薬は、注射より価格が安く、フィラリアの他、ノミやマダニ、他の内部寄生虫まで 同時に駆除できます。毎月投与するのは面倒ですが、犬の安全性やオールマイティさを考えれば、月1回の予防薬を選ぶメリットもあります。

猫のフィラリアも命にもかかわることなので、獣医師に相談して予防薬を与えましょう。なお、猫には注射はありません。

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ペット衛生管理の豆知識:犬猫のフィラリア予防1

フィラリア症は寄生虫病です

フィラリア(犬糸状虫)は、犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫の名前で、感染した犬の血を吸った蚊が 他の犬の血を吸うことで 犬の間で感染していきます。蚊の吸血により 感染幼虫が犬の体内に入ると、フィラリアは発育を続けながら犬の体内を移動して 心臓や肺動脈にたどり着き、心臓で成虫になって子どもを産み、体内でどんどん数を増やします。
フィラリアの成虫は30cm にもなるそうめんのような糸状の寄生虫ですので、フィラリアが心臓や肺に増えると、血液の循環が悪くなり、呼吸器や循環器、泌尿器に障害を起こします。

フィラリア症の症状は、はじめあまり目立ちません。元気・食欲がない、体重の減少、ゼーゼーと咳をする、苦しそうに呼吸をするといった症状が出て、初めて異常に気付く飼い主さんが多いようです。
症状が進行してくると、お腹周りが大きくなる、コーヒーのような赤みを帯びた尿をするようになったりします。これは、循環器が障害されるためにお腹や肺に水が溜まったり、血液中の赤血球が壊れてしまうために血色素の色が尿にでてしまうためです。
そして最終的には、心不全を患って死に至ることもある、犬にとっては重大な病気です。

犬だけでなく、猫もかかります。猫では主に肺に障害を起こします。猫の場合、寄生するフィラリアの数が少ないため診断が難しく、咳や呼吸困難、嘔吐などの症状が出てきたときには 命が危ない状態といえます。突然死亡することもあります。

犬の場合も猫の場合も、最善の対策は事前の予防です。次回は予防のお話です。

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ペット衛生管理の豆知識:災害時の備え

災害時を見据えて普段から備えましょう!

今年元旦、最大震度7の大きな揺れを観測する能登半島地震が起きました。多くの建物が倒壊し、津波もきて、被害は甚大なものとなりました。犠牲になられた多くの方々のご冥福をお祈りします。東日本大震災からは13年。静岡に住む私たちにとっても、南海トラフ巨大地震がいつ起きてもおかしくない状況だとか。日本は地震大国です。

大きな地震が起きると言われ続けている静岡ですが、本当に災害時の備えは大切です。災害は、ある日突然襲ってきます。人だけでなく、多くのペットたちも犠牲となってしまいます。命は助かっても、被災した飼い主の生活上の理由から、ペットと別れなければならない場合もでてきます。そんな悲しいことにならないように、できることから備えていきたいですね。

避難所での生活のためには、ペットをキャリーバックやケージに慣らしておくこと、人や他の動物にむやみに吠えたりしないようにすること、決められた場所で排泄ができること、などが必要となってきます。そのことは、実はペット自身のストレス軽減にもつながります。

また、避難所や動物救護施設では、ストレスでペットの免疫力が低下することが想定されることから、普段から予防接種やノミなどの外部寄生虫の駆除などを行っておくことも重要です。

ペットフード等の食べ物、ペットシーツや猫砂などの日用品も、通常時から、十分な量、備蓄しておきましょう。

地震のほか、地球温暖化による異常気象による大災害も、いつどこでおきてもおかしくない状況です。かわいい子を守るためにはどうすればいいのか、日頃から考えておきましょう。

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