ペット衛生管理の豆知識:犬の問題行動としつけ

犬に問題行動を起こさせないために

犬の問題行動とは、人間の社会に受け入れられないような犬の行動です。犬は長い年月をかけて目的をもって改良されてきましたので、様々な性格や形態の犬がつくられています。攻撃性をもつようにつくられた犬もいますし、飼い方によっては人間の優位に立ち、吠える、噛むといった犬本来の性質が強く現れてしまう犬もいます。これらの犬には、よほどしっかりしつけをしない限り、本来の性質を矯正することは難しいといえます。見た目が「かわいい」「気に入った」というだけで犬を選ぶのは誤りで、その犬種の性質をしっかり理解した上で、飼い主さん自身の性質と、生活環境を考えて、犬種を選ぶことが重要です。

また、犬や猫は幼齢期に早期に親・兄弟から引き離すと十分な社会化が行われず、成長後に噛みぐせや吠えぐせなどの問題行動を引き起こす可能性が高くなるといわれています。しかし以前の日本では、生まれた子犬を母犬から早くに引き離して販売するということが行われていました。犬猫の問題行動は飼い主の飼育放棄につながり、飼育放棄の増加は殺処分数の増加にもつながります。そのため、令和3年度動物愛護法の改正により、生後57日齢未満の犬猫の販売が禁止されました。
本来、子犬は母犬や兄弟犬と生後2~3ヵ月までは一緒に過ごすのが理想です。親・兄弟との接触、飼い主の家族の他、多くの人や犬に会わせたり、いろいろな場所に行ったり、他の動物に会わせたり、音に慣れさせるなど、子犬のうちに多くのことを体験させることが重要だからです。いろいろな体験を通して、子犬は社交的な犬になっていきます。

犬のしつけとは、人と一緒に暮らすために犬に守らせたいルールを覚えさせることです。室内の小型犬のしつけの目標は、飼い主を噛まないことと、吠えて近所に迷惑をかけないことです。大型犬では、散歩の途中で他人や他の犬に吠えたり攻撃したりしないようにすることも必要です。

人が犬のリーダーになる主従関係は、犬にとってかわいそうなことではありません。飼い主が犬の頼れるリーダーになれば、犬は安心して暮らすことができます。

「ハウス」「オスワリ」「フセ」「マテ」「オイデ」などの指示語のトレーニングは、飼い主が犬をコントロールするために重要です。訓練を通じてリーダーである飼い主との信頼関係も深まります。

重要なのは、ダメなことはダメとあきらめさせること。吠えればなんでもきいてもらえると思わせないために、吠えても無視することです。目もみず、声もかけず、犬があきらめるまで待ちましょう。

叱るのではなく、できたときに誉めましょう。最初は「おやつのごほうび」と「なでてほめる」をセットでしてあげましょう。ほめられるのがうれしくなると、なでられたりほめられたりすること自体がごほうびとなります。

しつけの仕方にもいろいろありますが、自分の犬と生活環境に合わせて、ムリをせず、あきらめず、時間をかけて続けましょう。

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